自動車部品メーカー「統合」まだ続きそう ホンダ・日立系4社がひとつに...それでも世界13位

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   世界的に自動車業界の再編が加速している中、ホンダと日立製作所が、1年後をメドに傘下の自動車部品メーカー4社を経営統合する。

   新会社の売上高は国内自動車部品業界3位に浮上する。電動化や自動運転など次世代技術の開発競争が激化し、「100年に1度」と言われる自動車業界の変革期を生き抜くため、規模拡大で競争力を強化する。

  • 統合する4社の一つ、日立オートモティブシステムズの公式サイト
    統合する4社の一つ、日立オートモティブシステムズの公式サイト
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世界的にも合併・巨大化の流れ

   2019年10月末、日立、ホンダと部品4社が基本契約を締結した。ホンダが筆頭株主になっているケーヒン(出資比率41.35%)、ショーワ(同33.5%)、日信工業(同34.86%)の3社に、ホンダが最大3200億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施し完全子会社化。その後、日立の完全子会社の日立オートモティブシステムズがホンダ系3社を吸収合併する。新会社の出資比率は日立66.6%、ホンダ33.4%の予定だ。

   4社の売上高を単純合計すると1兆7964億円(2018年度)で、自動車部品ではトヨタ系のデンソー(売上高5兆500億円)、同じくアイシン精機(同3兆8300億円)に次ぐ国内3位になる。

   今回の統合の決断の背景にあるのが「CASE(ケース)」と呼ばれる次世代技術の開発競争の激化だ。CASEはコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化の4つ。巨額の開発費を確保するため、欧米では、独ボッシュを筆頭に、合併を繰り返しており、巨大化が大きな流れ。日本でも、事業統合や合併で大手に対抗しようという動きが徐々に広がる。日産自動車系列で最大手だったカルソニックカンセイは、日産保有の株が米系ファンドの手に渡った後、欧米自動車大手系の部品会社と経営統合した。トヨタも、同社とデンソーの主要電子部品事業をデンソーに集約することや、アイシン精機が子会社のアイシンAWと経営統合することを決めている。

   こうした動きは、単に規模を追うだけではない。さまざまな部品と制御装置をセットでつくり込む「メガサプライヤー」が主流になりつつあり、そのための巨額の開発費の確保と、必要な技術の取り込みという2重の意味で、規模拡大が不可欠ということだ。

「国境も越えた再編は続く」

   統合を発表した10月30日の記者会見で、日立オートモティブのブリス・コッホ社長は「統合で規模が生まれるだけでなく、先端的な技術を組み合わせることができる」と強調。日立製作所の小島啓二副社長は「車はいろいろなデータを生み出すので、IoT(モノのインターネット)やデータ解析などの注力分野にフィットする」と語り、自動車事業を今後の成長柱の一つに位置付ける。

   ホンダの貝原典也常務執行役員も同じ会見で、「これまでのパートナーシップの枠を超えて新たなフォーメーションをつくる」と語り、具体的に「日立に(拡販を)担ってもらい、幅広い顧客のネットワークを活用させていただく」と期待を述べた。ホンダにとって、新会社の販路が系列を超えて広がることで事業規模が拡大し、調達コストの低減につながる期待がある。独立路線を掲げるホンダとしても、小規模の部品メーカーを丸抱えしてはいけないということだ。

   具体的に4社の事業を見ると、日立オートモティブは、SUBARUの運転支援システム「アイサイト」の開発に携わるなど技術力に定評がある。ケーヒンはハイブリッド車(HV)向け技術、ショーワは衝撃器、日信工業もブレーキ部品などに強く、新会社設立後は重複する事業を整理し、CASE関連を中心に次世代技術に経営資源を集中することで「メガサプライヤー」追撃を目指すことになる。

   ただ、その道のりはたやすくはない。世界ではデンソーが2位、アイシンが6位で、統合した新会社はやっと13位。トップテンなどの大手の背中はなお遠い。自前主義へのこだわりが強かったホンダだけに、今回の再編は、やっと第一歩を踏む出したところといえ、「完成車メーカー系列を超え、国境も越えた再編はこれからも続く」(大手紙経済部デスク)のは確実だ。

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