「国境も越えた再編は続く」
統合を発表した10月30日の記者会見で、日立オートモティブのブリス・コッホ社長は「統合で規模が生まれるだけでなく、先端的な技術を組み合わせることができる」と強調。日立製作所の小島啓二副社長は「車はいろいろなデータを生み出すので、IoT(モノのインターネット)やデータ解析などの注力分野にフィットする」と語り、自動車事業を今後の成長柱の一つに位置付ける。
ホンダの貝原典也常務執行役員も同じ会見で、「これまでのパートナーシップの枠を超えて新たなフォーメーションをつくる」と語り、具体的に「日立に(拡販を)担ってもらい、幅広い顧客のネットワークを活用させていただく」と期待を述べた。ホンダにとって、新会社の販路が系列を超えて広がることで事業規模が拡大し、調達コストの低減につながる期待がある。独立路線を掲げるホンダとしても、小規模の部品メーカーを丸抱えしてはいけないということだ。
具体的に4社の事業を見ると、日立オートモティブは、SUBARUの運転支援システム「アイサイト」の開発に携わるなど技術力に定評がある。ケーヒンはハイブリッド車(HV)向け技術、ショーワは衝撃器、日信工業もブレーキ部品などに強く、新会社設立後は重複する事業を整理し、CASE関連を中心に次世代技術に経営資源を集中することで「メガサプライヤー」追撃を目指すことになる。
ただ、その道のりはたやすくはない。世界ではデンソーが2位、アイシンが6位で、統合した新会社はやっと13位。トップテンなどの大手の背中はなお遠い。自前主義へのこだわりが強かったホンダだけに、今回の再編は、やっと第一歩を踏む出したところといえ、「完成車メーカー系列を超え、国境も越えた再編はこれからも続く」(大手紙経済部デスク)のは確実だ。