岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
大統領はなぜ、映画「ジョーカー」を気に入ったのか

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「アーサーがトランプと思わず重なった」

   米国ではジョナサンのように、アーサーや、アーサーの凶行に刺激を受けて暴徒と化す市民を、トランプ氏やトランプ支持者と重ねる人が少なくない。トランプ支持者のなかには、いつのまにか主流から社会の底辺に押しやられ、「忘れ去られた」と感じている白人も多い。アフリカ系アメリカ人や移民は、「affirmative action(積極的差別是正措置)」などで自分たちより優遇されている、と怒りを抱く人もいる。

   映画の最後のほうで暴徒が街にあふれるシーンは、白人至上主義者の極右団体のデモや、マッチョな白人男性の姿も目立つトランプ支援者の集会を思い起こさせるというわけだ。

   自分を笑い者にした、憧れの人気コメディアンでトーク番組司会者のマーレイ・フランクリンを、アーサーが殺害。逮捕後、護送中のパトカーに救急車が突っ込むと、暴徒たちがアーサーを救出し、ボンネットの上に横たわらせる。

   このシーンについて知人のジョナサン(前出)は、「意識が戻ると立ち上がり、燃えたぎる炎をバックにアーサーが踊り出したとき、世界を狂わせながら悦に入るトランプと思わず重なった」という。

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