ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(35)の退団が秒読み段階に入った。
他球団との交渉を望むバレンティンの意志を球団が容認した模様で、今月末(2019年11月)に締め切られる保留選手名簿から外れ自由契約となる見通し。球団は引き続き残留交渉する方針だが、ソフトバンクが獲得へ向けて調査を行っており、他球団の移籍が現実味を帯びてきた。
自身のツイッターで退団を匂わせるコメントも...
今シーズンに国内フリーエージェント(FA)権を取得しながらも行使しなかったバレンティン。残留を視野に入れつつ、他球団でのプレーを否定してこなかった。今オフにはSNSを通じて意味深なツイートを繰り返し、21日には自身のツイッターで「どこに行っても僕はいつもファンを愛しているし、みんなが支え続けてくれると分かっている」と退団をにおわせるようなコメントをしていた。
来日9年で通算288本塁打を量産。左足の負傷により長期離脱した2015年シーズン以外は30本塁打以上をマークし、今シーズンも33本の本塁打を放った。来シーズンには36歳となるが、長打力は衰えを知らず。その一方でネックとなるのが高額年俸だ。今シーズンの年俸は球団最高となる4億4000万円(金額は推定)で、本人が複数年契約を望んでいることから残留となれば10億円前後の大型契約が見込まれる。
球団はバレンティンの残留を望む一方で、大きな問題を抱えている。来シーズン中に国内FA権を取得する見込みの山田哲人内野手(27)をどのようにして引き留めるか。史上初の3度のトリプルスリーを達成し、侍ジャパンのメンバーとして「プレミア12」で日本を世界一に導いた山田の注目度は高く、FA権を行使すれば複数球団が獲得に向けて名乗りを上げることは必至だ。
FA行使ならば丸を超える大型契約も
山田は年齢的にもまだ若く、長期的な活躍が見込まれるため、争奪戦になれば4年から5年の複数年の大型契約となるだろう。昨オフ、FAで広島から巨人に移籍した丸佳浩外野手(30)は5年総額25億円超(金額は推定)とみられるが、山田はこの条件を大きく超えることが予想される。ヤクルトが残留を要請する場合も、それ相応の条件が必要になってくるだろう。バレンティンが退団となれば戦力的には大きな痛手となるが、4億円超が浮くことになり資金面で余裕が生まれる。
在京球団の関係者は「バレンティンのバッティングは確かに魅力だが、守備と年齢を考えると球団は複数年の高額年俸を用意するのに二の足を踏むでしょう。山田の残留資金に充てたほうが有効と考える幹部もいると思います。もし山田がFAで他球団に移籍となれば、バレンティン以上のダメージですから、球団は大金を積んでも引き留めにかかるはず」と話す。
今オフの国内FA組はすべて移籍先が決定し、各球団は外国人助っ人の獲得に動き出した。NPB通算288本塁打のレジェンド助っ人は、新たな環境でのプレーを選択するのか。落ち着きかけたストーブリーグがにわかに盛り上がってきた。