世界反ドーピング機構(WADA)は2019年11月25日、「ドーピング」問題で、国ぐるみの不正な関与、データの改ざんが行われたとして、ロシア選手を東京五輪・パラリンピックや各競技の世界選手権など主要大会から4年間、除外する内容の処分案を常任理事会(12月9日開催)で諮(はか)ることを発表した。
国際大会から4年間除外、個人資格では参加可能も...
ロシアによる一連のドーピング疑惑を時系列で追ってみよう。まず2014年12月、ドイツの公共放送が「ロシア陸上界の組織的ドーピング疑惑」を報じたことがきっかけだった。翌15年11月には、第三者委員会がロシアの組織的な不正を認定、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格を停止した。
16年のリオデジャネイロ五輪では同国選手団の締め出しを勧告、17年12月には、18年の平昌五輪(冬季)への同国選手団を除外。ただし、厳格な検査によって「シロ」と認められた選手にのみ「個人資格」で参加できることとなった。フィギュアスケートなどで世界をリードするロシアだが、表彰式では「国旗の掲揚→五輪旗で代用」、「国歌→五輪歌に変更」となるなど、前代未聞の大会となった。
今回、問題となったのが「ドーピングに関するデータ」をさらに「改ざん」してWADAに報告した疑いがあるというもの。ロシア国内の内部通報者が情報提供したとされ、ドーピング違反を示す可能性のある数百カ所が削除、その元データやPDFファイルも消去されたり、変更されたりしていたようだ。
WADAは18年、隠蔽工作が行われた検査所で保管されている選手のすべてのデータを提供することなどを条件に、ロシアに対する処分を解除したが、提供されたデータに改ざんの可能性があることが分かり、コンプライアンス審査委員会が再調査を行った上で19年12月の常任理事会で処分の判断を示すことになった。