2019年11月26日まで日本を訪問していたローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、長崎と東京の球場では「パパモービレ」と呼ばれるオープンカーに乗って、ミサ参列者の大歓声に応えた。
パパモービレが利用されるようになったのは故ヨハネ・パウロ2世が即位した直後の1979年頃で、これまで多くの自動車メーカーが人気モデルを改造して提供してきた。今回の訪日で使用されたパパモービレは、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」をベースにしている。その背景には、「教皇の意向」があった。
水素と酸素の化学反応で発電してモーターを回す
これまでのパパモービレのベースになったのは、「メルセデス・ベンツ230G」「キア・セドナ」といったSUVやミニバン、ジープや「フィアット版ジープ」とも呼ばれる「カンパニョーラ」など。世界中の自動車メーカーがさまざまな車種を改造してパパモービレとして提供してきた。
今回の来日にあたって採用されたMIRAIは世界初の量産FCVで、2014年12月15日に発売。水素と酸素の化学反応で発電し、モーターを回して走る自動車で、水素をタンク満タンにすると約650キロ走れる。15年には箱根駅伝でも利用されたり、首相官邸にも納入されたりした。18年にモデルチェンジされたバージョンを改造してパパモービレとして納入した。