「同意書を出しても、十分な説明がなければ違反」
朝日新聞の3月26日付朝刊「声」欄では、都内在住の声楽家の女性(57)が高額な差額ベッド代を請求された体験を投稿した。具合が悪くなった母親(86)が救急搬送され、「1日10万円か15万円の部屋ならあります」と病院から言われて支払ったが、「普通の老人に勧めるのか」と疑問を明かしていた。
これに対し、4月7日付の「声」欄では、医療関係者とみられる団体職員が女性の声を取り上げ、病院都合の差額ベッド代は不要だとして、「その差額は返金される可能性があります」と指摘していた。
このこととの関連は不明だが、東京都中央区では、「知らずに支払う人が多いと思うので、ベッド代は支払わなくていいのを周知してほしい」と3月に区長への手紙が届き、翌4月にサイト上で「差額ベッドについて」とする注意喚起を行った。
女性が同意書を出したかは不明だが、制度をよく知らないまま同意書を出してしまった場合はどうなるのか。厚労省の医療課は11月25日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「患者が同意していないことを立証する必要があり、医療機関との間の話し合い次第になります。ただ、医療機関が制度を十分に説明していなければ、違反の可能性があり、指導することもありえます。そもそも制度は、病院側の事情のために設けたのではありません。プライバシーのため個室がいいなど、患者の選択の機会を広げるために設けたものです」
なお、個室から4人部屋までの差額ベッドは、病床数の5割までとされている。18年7月現在で、全国での総病床数の2割を占める約27万床があり、1日当たりの平均額は6258円で、最高額は37万8000円だった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)