コンビニ「24時間」崩壊の序曲? ファミマ「希望退職」が意味するコト

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   コンビニ大手3社の一角を占めるファミリーマート(ファミマ)が社員に対して希望退職を募る。対象となるのは原則40歳以上で、2020年2月までに全社員の約1割に相当する約800人の応募者を集める。

   足元の業績は決して悪くはないのにリストラに踏み切るのは、コンビニ加盟店とのフランチャイズ契約の見直しによって、コンビニ本部の経営が厳しくなっていくと見込んでいるからだ。2019年2月に大阪府東大阪市のセブン-イレブン加盟店が強行した深夜休業がきっかけとなり、コンビニ業界が激震に見舞われている。

  • ファミリーマートの次の一手は?
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半数近い約7000店が時短営業を「検討したい」と回答

   「コンビニは飽和状態にある」。2019年11月14日に開いた記者会見でファミマの澤田貴司社長は、曲がり角を迎えているコンビニ業界の現状を言い表した。記者会見ではフランチャイズ契約の見直しにも触れ、20年3月以降は24時間営業からの短縮について、加盟店が希望する場合は本部と事前に協議をした上で、加盟店の判断によって決定する方式に改める。店を閉める時間は23時から朝7時までの間で決め、営業を短縮する曜日も加盟店が「毎日」か「日曜日のみ」から選ぶ。

   ファミマの店舗は全国に約1万6000店ある。2019年6月から一部地域で営業時間短縮の実験を始め、10月からは全国約620店に実験店舗を拡大して、利用者の利便性や適切な店舗運営方法について模索していた。今(19)年に実施した加盟店へのアンケートでは、半数近い約7000店が時短営業を「検討したい」と回答しており、ファミマの時短営業店舗が今後広がっていく可能性が高い。

   ファミマの新しいフランチャイズ契約では、加盟店の時短営業について本部の同意を必要としておらず、「本部との合意」を加盟店に要求する最大手のセブン-イレブンよりも踏み込み、加盟店側に配慮した内容だ。セブンでは2019年11月から一部店舗で時短営業を本格的に始めており、3位のローソンは以前から加盟店に時短営業を認めている。

「働き方改革」との関係

   こうした時短を認める動きは、コンビニの代名詞となった「24時間営業」が曲がり角を迎えているからだ。アルバイト従業員の時給は全国的に上昇している。その半面、経済産業省がコンビニ加盟店主に実施したアンケートでは、「休みが週1日以下」と回答した店主が85%を占め、店主の家族が店頭に立つ時間も長くなっている。こうした実態にしびれを切らしたのが東大阪市のセブンの店主だった。「働き方改革」と逆行するコンビニ業界の実態に社会的な関心も高まり、経済産業省も専門家を集めた「新たなコンビニのあり方検討会」を設置。加盟店主や従業員、利用者、そしてコンビニ本部の経営トップにヒアリングを実施している。

   大手3社の中でもファミマは同業を買収して規模を拡大してきた側面がある。2009年に「am/pm」を展開するエーエム・ピーエム・ジャパンを買収して、2016月には「サークルK」「サンクス」を展開するユニーグループ・ホールディングスと経営統合。それぞれのブランドの店舗を「ファミリーマート」に転換して規模を拡大した結果、セブンに次ぐ国内2位に浮上した。経営統合する度にコンビニ本部の人員も増えてきた模様だ。コンビニの24時間営業が曲がり角に差しかかり、フランチャイズ契約を加盟店側に配慮した内容に見直すタイミングで本部のリストラに踏み切り、激しい競争が続く小売業界で勝ち抜きを目指す。

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