昭和生まれがついに婚活から排除された――? そんなどよめきが、あるイベントをきっかけに広まった。参加者を「平成生まれ」に限って2019年11月15日に東京・羽田空港で開催されたパーティーだった。
一方で、「昭和生まれ限定」と銘打ったイベントも前後して開催されている。なぜこのように、生まれた時代で区切るイベントが催されるのか、それぞれの理由を取材した。
実は「婚活」ではなく「恋活」
11月15日に羽田空港で行われたのは、「恋活パーティー」at Haneda Airportというイベントで、平成生まれの未婚男女のみが参加可能なものだった。本来これは、企業などの福利厚生サービス「えらべる倶楽部」が企画したもので参加資格もえらべる倶楽部の会員限定だったが、イベントの存在がネットで拡散されると
「昭和生まれはもう平成生まれの子と出会うのも駄目ですか」
「昭和生まれの未婚者は人権ねえな」
「なるほど。昭和生まれは既に婚活市場からも退場すべき時か」
のように、昭和生まれと思われるツイッターユーザーから自虐的な感想が多く出た。 実際、なぜ参加者を平成生まれに限ったのか。11月14日にえらべる倶楽部を運営する株式会社JTBベネフィットに取材を行うと、
「えらべる倶楽部は20代から60代まで幅広い年齢層の会員を対象とし、様々なサービスがあります。その中で、男女の出会いをサポートするためには、趣味や世代など共通の話題があった方が、コミュニケーションが図りやすいと考えております」
と答え、
「今年は改元もあり、平成生まれという同じ世代の方々で集まった方が参加者の趣味嗜好も近いものになり、よりコミュニケーションが図れるのではという趣旨です」
と説明した。イベントのタイトルも「婚活」ではなく「恋活」で、結婚相手探しを前提としたものではない。ネットの反応は主催者側にとってやや意外なものだった様子だ。
実は「昭和生まれ」限定イベントも
実際のところ逆に、参加者を昭和生まれに限った恋活イベントも開催されていた。19年10月27日に京都で開催されていた「昭和恋活交流会 どんなご縁もつなげてエンジョイ&ハッピー」というイベントだ。こちらは昭和生まれの独身男女限定、年齢上限はない。主催者の婚活マスター・辻曙美さんに主催した意図を聞くと、
「平成生まれの若い世代よりも30代以上、特に40代以上の方はなかなか相手を見つける機会に恵まれません。昭和生まれ限定でかつ年齢上限をつくらないことで、「参加しても浮いてしまうんじゃないか」と気後れしてしまう年配の方でも参加しやすい雰囲気を作っています」
とのことだ。年齢制限が無いと、高齢独身の自覚がある人はイベント参加を躊躇してしまう可能性もあるので、昭和生まれ限定としつつも上限を設けていない。
また結婚そのものをゴールとせず、生涯付き合っていけるパートナーを見つけることが目標。参加人数が多すぎてもお互い会話もできない参加者が出てしまうので、男女15人ずつ程度参加の小規模で、19年10月だけでなく1月と3月にもこのイベントを開催してきた。
辻さんは「若い世代の方が、イベントに頼らずとも相手を見つけるチャンスが多いです」と話し、むしろ大半が昭和生まれになる30代以上の方が婚活・恋活への意欲が強いことを指摘する。「平成生まれ限定」のイベントはショッキングかもしれないが、男女の出会いを求めるニーズはそれより上の世代も根強く持っている。ことさらに悲観する必要もまだないのではないだろうか。