自動車評論家らでつくる自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)は、今年の「RJCカーオブザイヤー」に、日産自動車の軽「デイズ」と三菱自動車の軽「eKワゴン」を選んだ。
いずれも両社が共同開発した軽ワゴンで、2代目となる今回は日産が開発を主導し、姉妹車の同時受賞となった。RJCは「新開発のプラットフォーム、パワートレインの採用で優れた居住性、積載性を実現するとともに、走行性能、環境性能が向上した」と高く評価した。
トップ3はいずれも軽ワゴン
またRJCは今回の受賞理由について「軽自動車で初めて先進運転支援システム『日産プロパイロット(三菱マイパイロット)』を搭載することで、ドライバーの負担を軽減し、軽自動車の活用領域を大きく広げた」とコメントした。
今回、RJCカーオブザイヤーの最終選考に残ったのは、最高得点となったデイズ・eKワゴン(得点224)のほか、(2)ダイハツタント/194点(3)ホンダN-WGN/152点(4)マツダ3/146点(5)トヨタRAV4/138点(6)日産スカイライン/112点――だった。
今回、トップ3は、いずれも軽ワゴンで、ライバル同士の首位争いとなった。いずれも居住性、積載性に大きな差はなく、日産が軽に初めて先進運転支援システムを搭載したことが最後の決め手になったとみられている。
このほか、RJCカーオブザイヤーは輸入車部門で「BMW3シリーズ」を選んだ。技術部門では、高速道路の同一車線内で手放し運転(ハンズオフ)を可能にした日産の自動運転支援技術「プロパイロット2.0」(スカイラインに搭載)がRJCテクノロジーオブザイヤーを受賞した。
年末に「今年一番」のクルマを選ぶ「カーオブザイヤー」は現在、日本では代表的な賞が2つあり、お互いに「棲み分け」を図っている。「走り重視」の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」と、「実用性重視」のRJCカーオブザイヤーだ。
一方の日本カー・オブ・ザ・イヤーは?
日本カー・オブ・ザ・イヤーは1980年スタートと歴史が古く、自動車雑誌の出版社などが実行委員会を作り、選考委員にはレーサーやラリースト出身のモータージャーナリストや自動車評論家が多い。このため実用的なファミリーカーだけでなく、話題のスポーツカーや高級車が選ばれることが多い。
これに対して、RJCカーオブザイヤーはNPO法人「自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)」の主催で、会員には学識経験者や技術者のほか、レーサー出身でないモータージャーナリストや自動車評論家が多い。RJCは日本カー・オブ・ザ・イヤーを批判し、1991年に生まれた経緯がある。
このため、過去の受賞車も、日本カー・オブ・ザ・イヤーには軽の受賞が一度もないのに対して、RJCは軽が何度も受賞している。RJCは今年も軽が上位を占め、わかりやすい結果となった。
今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは、ダイハツタント▽トヨタカローラ・カローラツーリング▽トヨタRAV4▽日産デイズ・三菱eKワゴン▽ホンダN-WGN▽マツダ3▽BMW3シリーズ▽ジャガーI-PACE▽ジープラングラー▽メルセデス・ベンツAクラス(順不同)が最終選考に残っている。この「10ベストカー」の中から、12月6日に最終選考が行われる。
筆者は日本専用ボディーでデビューしたトヨタカローラか、ジャガー初の電気自動車で「ワールドカーオブザイヤー」を受賞したI-PACEが本命ではないかと予想する。今年は軽が3台ノミネートされているが、RJCが日産デイズ・三菱eKワゴンを選出したこともあり、例年通り軽の受賞はないのではないかと思う。