巨大メディア企業としての「ヤフー×LINE」 経営統合で生まれるコングロマリットの全貌

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10年前と大きく変わったネットメディア業界

   Yahoo!ニュースの運営方針を知る貴重な資料として、当時の担当者・奥村倫弘氏(現:東京都市大学教授)によって書かれた『ヤフー・トピックスの作り方』(光文社新書、2010年)があるが、ここでは「ロボット編集部」の難しさについて、実例を示しつつ、このように指摘していた。

「人間の内側にある数値化できない価値は、思考や感情、直感を持たない機械にどうしても教え込むことができないからです。(中略)人間が心の内側で感じる価値を機械は感じ取ることができません。こうした感受性に加えて、文脈を理解したり、文意を汲み取ったりといった行間を読む行為や眼光紙背に徹することは機械にはできません」

   同書刊行から、もうすぐ10年が経つ。その間に技術も大きく進歩し、スマートニュースやグノシーのように、人の手を介さないキュレーションアプリも登場した。川邊氏はYahoo!ニュース責任者だった08年1月、J-CASTニュースの「ライバルはいるのか」との問いに、こう答えていた。

「意識しているのはブログ、ミクシィ、モバゲーですね。重要なのはニュースも含めて、時間の奪い合いをしている、ということなんです。危機意識はありますね。(中略)何を面白いと思うかがメチャクチャ多様化している。だからヤフー・ニュースもますます多様性をもたなくてはいけない。横にも縦にも選択肢の多さ。何でも『とりあえずヤフー・ニュースで探そう』という感じに」

   当時はパソコンからネットを見るのが当たり前。このインタビューから半年後、iPhone 3Gが発売され、日本にスマートフォンの波がやってきた。ツイッターの日本語版開始もこの年だ。後にソーシャルゲーム(ソシャゲ)が乱立し、11年にはLINEアプリも登場。ヤフーは「爆速」をスローガンに、宮坂学社長(当時、現:東京都副知事)のもとで、一気にスマホシフトを進めることになる。このように数年先もわからないのがIT業界だ。令和の時代に生まれる「AIテックカンパニー」は、メディア事業にも技術革新を起こすのだろうか。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)

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