巨大メディア企業としての「ヤフー×LINE」 経営統合で生まれるコングロマリットの全貌

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「大再編」の可能性はあるのか

   企業の成長にともなって、資本関係も難解になりつつある。とくにソフトバンク傘下では、ソフトバンク子会社、ZHD子会社、ヤフー子会社に、それぞれ事業会社が置かれていて、それぞれの株主構成は複雑だ。たとえば、「ねとらぼ」(11年創刊)などを運営する東証1部上場企業・アイティメディア(ITmedia)は19年11月中旬現在で、ソフトバンクの「ひ孫会社」、ソフトバンクグループの「来孫(らいそん)会社」にあたる(ソフトバンクグループ→ソフトバンクグループジャパン→ソフトバンク→六本木分割準備→SBメディアホールディングス→アイティメディア)。ZHD・LINE両社の競合ブランドの今後については、経営統合後に具体的な検討に入るとしているが、周辺事業を行うソフトバンク傘下の会社も巻き込んでの「大再編」となる可能性もゼロではないだろう。

   新聞や放送、映画やインターネットなどを手広く擁する企業を「メディア・コングロマリット」と呼ぶ。その代表例が「メディア王」ことルパート・マードック氏が率いる、米ニューズ・コーポレーションだ。ソフトバンク創業者の孫正義氏は1996年、このマードック氏と組んで、テレビ朝日への資本参加を目指したが、朝日新聞社の反対で失敗している。LINEの母体の一つであるライブドア・堀江貴文社長(社名、肩書とも当時)が、フジテレビジョンの筆頭株主だったニッポン放送の買収をめざすのは、それから9年ほど後になる。

   ここまで書いたように、今回の経営統合は、「巨大メディア帝国」誕生の側面も持ち合わせている。統合発表会見で、川邊氏、LINE出澤剛社長とも、ほぼ孫氏は交渉に関与していなかったとしているが、「(孫氏は統合に)100%賛成である」(川邊氏)とも語っている。表向きはAIがメインだが、メディア事業への夢も再び――などと予想するのは、いささか勘繰りが過ぎるだろうか。

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