ZHD社長「お互いに切磋琢磨してやっていけばいいんじゃないかな」
ZHDとLINEによる新会社は、「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」を目指すとしている。重複事業の再編については、経営統合が完了した後、LINE慎ジュンホ氏が率いる「プロダクト委員会」が検討する予定だ。
メディア事業はAI技術よりも、人力に頼る部分が多い。ウェブメディアに携わる筆者としては、当然ながらYahoo!ニュースやLINE NEWSなどの今後が気になる。19年11月18日の統合発表会見で、ZHD川邊健太郎社長は、統合後に考えるとしつつ、
「両サービスとも多くのユーザーに愛されているサービスですから、引き続きどんどんお互いに切磋琢磨してやっていけばいいんじゃないかなと、私個人は思っております」
と発言した。重ねて川邊氏は、かつてYahoo!ニュースの責任者だった立場から、
「日本のジャーナリズムが、より健全で発展的になっていくための1つの場として、この2つのニュースサイトが、ますます日本の報道において貢献していってくれる場になってくれると、現場に期待をしております」
とも述べた。
発表会見で触れたのは2サイトのみだが、ここまで書いてきたように、両社にはそれ以外にもメディアを多数抱えている。その一方で、ここ数年で手放したものがあるのも事実だ。ウェブサイト作成サービスの老舗「Yahoo!ジオシティーズ」は、今年に入って日本語版サービスを終了した。ジオシティーズは1994年にアメリカで生まれ、97年に日本法人が設立された。2000年からはヤフーブランドとなり、世界各国でのサービス終了後(09年)も日本のみ継続されていたが、19年3月、ネット黎明期から20年以上にわたる歴史に幕を閉じた。
キーワードを入力するのではなく、リンク集をたどる方式の「ディレクトリ型検索」もそうだ。スタッフがサイトを1件ずつ収集し、カテゴリごとに分類するため、これも人力で編集されたメディアと呼べるだろう。Yahoo!JAPANは96年の開始当初から、ディレクトリ型検索の「Yahoo!カテゴリ」を提供していたが、18年3月に終了した。同社はその理由を「一定の役割を終えたもの」と考えたためとしている。同様に「Yahoo!ブログ」(05年開始)も、19年12月でサービス終了すると発表済みだ。