巨大メディア企業としての「ヤフー×LINE」 経営統合で生まれるコングロマリットの全貌

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   ヤフー親会社のZホールディングス(ZHD)と、LINEが2020年10月までに経営統合を目指すと発表した。報道各社は、競合するキャッシュレス決済「PayPay」と「LINE Pay」の行く末に加え、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)や、中国大手のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)といった海外の脅威を中心に、インターネット業界の転換点を伝えている。

   その一方で、メディア企業としての姿を解説する記事は少ない。実は両社は、コンテンツの制作から流通、消費まで、一貫して行える仕組みを持っている。直近の決算資料や媒体資料などを参照しつつ、「巨大メディア企業」としてのヤフー・LINE連合を見ていこう。

  • ZHD川邊社長(左)とLINE出澤社長が手を取り合った(19年11月18日、J-CASTニュース撮影)
    ZHD川邊社長(左)とLINE出澤社長が手を取り合った(19年11月18日、J-CASTニュース撮影)
  • ZHD川邊社長(左)とLINE出澤社長が手を取り合った(19年11月18日、J-CASTニュース撮影)

圧倒的なポータルサイトの強さ

   両社のメディア戦略を考えるうえで、まずはポータルサイトに触れる必要がある。ポータル(Portal)とは、英語で「玄関」を意味し、文字通りユーザーがネット上の情報に触れる入口となるサイトだ。ZHDは「Yahoo!JAPAN」、LINEは「livedoor(ライブドア)」が主力で、前者は月間ページビュー(PV)が約700億(以下、特記がなければ、19年11月22日時点の最新媒体資料より)、後者は約90億となっている。

   これらのポータルサイトは、メディア各社からニュース記事の配信を受けている。2社で言えば「Yahoo!ニュース」(約150億PV/月間、18年7月25日付プレスリリースより)と「livedoorニュース」(7億)がそれだ。Yahoo!ニュースの「ニュース提供社」ページには19年11月中旬時点で、テレビ局から新聞、ネット専業メディアを含めた約600媒体が掲載されている。ここに、Yahoo!ニュースよりも軽めの話題を扱っていた「ネタりか」(10月終了)の百数十媒体もあわせると、そのカバー範囲の広さがわかる。同様にlivedoorの「ニュース配信元一覧」にも、370ほどのメディアが並ぶ。

   ポータルサイトは、配信を受けた記事に、独自の見出し(通称:トピックス)や関連情報へのリンク、記事の概略などを付加して、トップページに掲載する。スマートニュースやグノシーといったアプリと違い、編集部が人力で、ニュースの価値判断をするのが特徴だ。

   LINEが運営するニュースポータルでは、他に「LINE NEWS」がある。これはLINEアプリ上で直接記事を読めるのが特徴で、19年7月時点で月間アクティブユーザー(MAU=月1回以上アクセスした利用者数)約6700万人としている。LINE NEWSには、メディア側が好きな記事を選んで定時配信できるサービス「アカウントメディア」もあり、こちらには320以上の媒体(11月時点)が参加している。

   また、ZHDと共同通信デジタルの合弁企業であるノアドット(nordot)は、新たな形のニュース配信プラットフォームを持っている。同サービスのユーザーは、コンテンツを提供するメディア側(コンテンツホルダー)に加えて、ポータルサイトのように記事を選ぶ側(キュレーター)にもなれるため、企業や個人が「旧来的なポータル観」にとらわれない、新たなサイトを作れる可能性を秘めている。

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