被害生徒側は「重要な調査を行っていない」と指摘
公表された報告書によると、生徒が在籍した中学校は、2017年2月27日に学校いじめ防止対策委員会でいじめ重大事態と認知。同年4月3日付で市教委へ重大事態に関する報告書を出した。2018年5月に報告書が公表されている。
だが、被害生徒側は、「公平、公正に本件いじめ事案の調査を行うべきだったにもかかわらず、自らの調査を『補充的調査』を実施するものと位置づけ、十分な調査を行わなかった」と指摘。高橋弁護士は会見で、「公表された調査報告書は、いじめ被害の実態と大きく乖離。被害生徒をさらに苦しめるものとなった」と訴える。「暴言や暴力、そして器物損壊と言った刑事罰に匹敵するような悪質ないじめが存在していましたが、その中で金銭的な要求、受け渡しがあったことだけに調査の内容が絞られていて重要な調査を行っていない。最初から限界があり調査対象を絞っていた」と問題視した。
また、調査対象の時期にも言及。「調査の対象は中学校時点のいじめに絞られ、小学校の時点は調査の対象に含まない。(生徒へのいじめに)関わってきたのが複数名いたが4名のみに限定され、4名以外の関係者にはそもそも調査されていない」とした。被害生徒は会見で、「(調査された4人含め)10人ほどは確実に調査してほしい人がいる」と話した。
被害生徒は、「不登校が1年3カ月間あった自分としては、(加害者は)すごく普通の生活を歩めていて、つらかったとか怒りっていうよりはうらやましい」と心境を明かした。市長宛に直接、手渡そうと思った気持ちについて、「実際に報告書が出てから1年以上たったが、自分が出すことによって誰かの力になると自分は信じている。そういう気持ちをもって今回秘書の方にお渡しさせていただきました」と語った。
代理人は、被害生徒のいじめの内容を詳細に説明。裂かれた筆箱や「死ね」と書かれた裁縫セットも見せた。