神奈川県横浜市の小中学校で、長期にわたりいじめを受けたと訴えている被害生徒(16)が2019年11月22日、横浜市を訪れ、「横浜市立学校いじめ防止対策委員会」(第三者委員会)が作成した調査報告書に関する再調査を求める意見書を、林文子市長、市教育委員会宛に提出した。
市教委によって設置された第三者委員会がいじめを調査した。18年5月に報告書が公表されたが、生徒側は「適切な調査がされなかった」と指摘。市役所で開かれた会見で生徒は、「不登校が1年3カ月間あった自分としては、普通の生活を歩めていてうらやましい」と加害者への気持ちを明かした。
「お前のせいで死んだ」「津波が起こせる体力があれば、もっと体育を頑張れよ」
いじめ防止対策推進法の第28条では、学校の設置者や学校は、いじめの重大事態(生命や心身、財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める時や、相当期間にわたり学校を欠席することが余儀なくされている疑いがある時)に対処し、事態発生の防止をするため、すぐに学校設置者や学校の下に組織を設け、重大事態にかかわる事実関係を明確にするための調査をするものとする、などと定めている。
生徒の代理人などによると、東日本大震災の翌年、当時小学3年生だった生徒は、授業で「被災者が親族にいるか」と問うアンケートを受けた。アンケートの回収方法が表のまま前の生徒に手渡す方法だったため、「被災者の親族がいる」という個人情報が同級生らに流れた。授業では、「被災者には多額の補償がされている」などと指導されていたため、被害生徒は同級生から金銭の要求や、「お前が地震・津波の原因だ」などと人格を否定する発言をされ、中学2年(16年)12月までいじめを受けた。同月から中学校卒業(18年3月)までの1年以上、学校に通えなくなったという。
代理人の高橋知典弁護士は、「言葉による暴力もひどい」と指摘。被害生徒が出した意見書によると、小学校時代、大雨や台風などの自然災害を伝えるニュースがあるたびに、生徒らが「私が災害を引き起こしたとして騒ぎ立てるようになり、さらに、それを理由に私を蹴ったり、殴ったりすること」もあったという。また、自然災害で人が亡くなったニュースが流れると、「お前のせいで死んだ」などと持ち出されたり、東日本大震災を持ち出して、「こんなに死んだのはお前のせいだ」「大量殺人鬼」などと言われたり、「お清めだ」と生徒らが言って塩をまいたりすることもあったという。東日本大震災に関し、生徒らは「津波が起こせる体力があれば、もっと体育を頑張れよ」、「授業はさぼっているのに、津波を起こせる体力はあるのか。うざいんだよ」などと言ってくることもあった。