プロ野球で増える「作戦コーチ」、その役割は? パイオニア・橋上氏に聞いてみた

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   プロ野球12球団の来シーズンのコーチングスタッフがほぼ出揃った。

   今オフはセ・パを通じて3人の新監督が誕生した。12球団それぞれに特徴がみられるが、巨人と楽天が作戦コーチを新設。巨人は吉村禎章氏(56)、楽天はヘッドコーチを置かずに野村克則氏(46)が作戦コーチに就任した。あまり耳慣れない「作戦コーチ」だが、その職務内容はどのようなものなのか。J-CAST編集部は、巨人、西武で戦略、作戦コーチを務めた橋上秀樹氏(54)に話を聞いた。

   橋上氏は現役時代、ヤクルト、日ハム、阪神でプレーし、引退後は楽天、巨人、西武、ヤクルトでコーチを歴任した。楽天時代には野村克也監督に師事し、ヘッドコーチを務めた。巨人フロントは野村監督のもとで「ID野球」を学んだ橋上氏を高く評価し、2011年オフに戦略コーチとして招へい。就任一年目の2012年に巨人は日本一となり、2016年からは西武の作戦コーチとして指導にあたった。

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「前例がなかったので手探り状態でした」

   橋上氏が巨人の戦略コーチに就任した当初、日本球界に戦略コーチ及び作戦コーチというポジションが浸透していなかった。橋上氏は「私の知る限り、当時は戦略コーチと呼ばれるような職はなかったと思います。前例がなかったので手探り状態でした。周囲のコーチ陣も戦略コーチがどういうものなのか分からないという感じでした」と当時を振り返る。

   新しい職に戸惑いながらもやるべきことは明確だった。「チームを勝利に導くこと」。この信念のもと、橋上氏は独自路線を進む。各スコアラーが集めてきた資料をデータ化し、対戦チームの投手の配球やクセなどを分析。それを毎試合ごとに監督に進言した。戦略コーチへのオーダーは、監督によって異なり、西武の作戦コーチに就任した当初のオーダーは、年間1000個以上あった三振を減らすことだったという。

「チームには打撃コーチがいますので、私が直接、打撃指導することはありませんでした。データをもとに選手にアドバイスするだけです。例えば、対戦投手の配球をデータ化し、どのカウントでどの球種が来やすいかをアドバイスしたりします。狙い球を絞ることを嫌う監督もいますので、チーム状況に合わせる形で都度アドバイスしていました」(橋上氏)
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