再上場当初は「苦戦」続いたが
同時に発表した2019年9月連結中間決算は、売上収益が前年同期比0.4%増の1176億円、コア営業利益が13.8%増の70億円、純利益が80.8%増の59億円と好調だった。
翌7日の株価は一時、前日終値比10.5%(270円)高の2847円まで上昇、終値は9.5%(245円)高の2822円だった。当日安値が前日高値を101円も上回る「窓を開ける」節目の展開にもなった。5日、6日も株価は上昇しており、8日と週明け11日も値上がりし、5日続伸を記録。野村証券やみずほ証券が業績上方修正などを評価して目標株価を引き上げたことも連騰を後押しした。11日には一時、2920円をつけ、終値は2910円でいずれも公開価格(2900円)を上回った。その後はやや落としているが、それでも19日時点で、2800円台半ばで安定している。
ワールドは2005年にMBO(経営陣による買収)によっていったん上場廃止となり、2018年9月28日に東証1部に再上場した。ところが初値は2755円と公開価格の2900円を下回り、この日の終値は2680円にさらに下げた。その後も公開価格を超えるどころか、年末にかけて値を下げていった。年明け後は業界内では構造改革が進んでいるとして見直し買いが入り、上昇基調で2900円に近づいていた。再上場当初はその業態が不安視されたが、実績を積み重ねることで投資家の信頼を得ていったと言える。
実際、オンワードホールディングス(HD)が2019年10月、地方百貨店の不調などに伴い、全体の約2割にあたる約600店の閉鎖を計画していると発表したが、ワールドはこれに先駆けて2016年3月期に全体の15%程度の約500店を閉鎖。着実に百貨店からショッピングセンター(SC)にシフトし、さらに在庫管理の徹底で利益をあげるという段階にいたっている。
ただ、ようやく公開価格近傍に届いたところで、とても「勝ち組」と言えるレベルではない。成長を見込めるインターネットを通じた販路をいかに開拓できるかを投資家が注視している。