2019年4月に発生した池袋暴走事故で、松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(同3)を失った遺族の男性(33)らが11月20日、国土交通省を訪れ、赤羽一嘉国交相と面会。高齢ドライバーによる事故防止対策などを求めた。
関東交通犯罪遺族の会(あいの会)の会員ら6人が訪問。会のメンバーでもある遺族男性は、面会後の会見で「免許返納だけではすべての問題の解決には至らない、地方の公共交通機関の拡充をお願いしたい点を話した」などと赤羽国交相への要望内容を語った。
「免許返納だけではすべての問題の解決には至らない」
あいの会の会員らは20日、赤羽国交相に要望書を手渡した。要望書では具体的に、高齢ドライバーの運転について、
自動運転車普及の目的は経済発展より前に交通安全であることの周知、自動運転等は運転者の責任回避の理由にはならないとの注意喚起、自動運転車での事故発生時には第三者委員会による原因究明を制度化、自動運転車以外の安全施策に対しても経済的支援を拡充、マニュアル車の推奨、歩車分離の将来的な導入に向けた推進活動、地方での公共交通機関の拡充を進めること、医師診断査定を必須とする高齢者限定運転免許の導入、
を求めている。ほかにも、ドライブレコーダーの全車両設置義務化を進めることや、レコーダーの記録データ活用範囲の拡大にも触れている。
受け取った赤羽国交相は、「交通事故により最愛のご家族を亡くされたご遺族に心からお見舞い申し上げたい」と哀悼の意を表した。「今から大変な課題の1つ、高齢者の運転による自動車事故を今後どうしていくか」と課題に言及。「公共交通機関をどうするのか、課題が大きくて決着をしていかなければいけない」と考えを示した。面会は大臣室で行われ、遺族らは約50分の間室内にいたという。
面会後、都内での会見で、遺族男性は、赤羽国交相に要望した内容に言及。「免許返納だけではすべての問題の解決には至らない、地方の公共交通機関の拡充をお願いしたいという点と、いま国土交通省の方々が懸命にマース(偏注:新たな移動サービス)を推し進めているのは重々承知の上で、より早く(マースを)実現して頂きたいという話をした」と語った。
「認知機能検査」にも言及
会の小沢樹里代表(38)は、「私たちの方から要望して、すぐに大臣が仰っていたのは、高齢ドライバーへの対策について、急務だということを伝えていただきました」と面会内容に触れた。国交相の発言に関しては、「遺族としては、命の重みを大臣がしっかりと感じてくれているんだなということを非常にありがたいな、という気持ちで聞いていました」と振り返った。
75歳以上のドライバーに実施する「認知機能検査」について、小沢さんは「3年に1度という形で義務付けられていますが、中々変わらないのが実情。認知はいきなり治らない、起こらないということも(大臣が)言ってくださり、定期検査の必要性を大臣も仰っていました。私たちも認知機能検査について、しっかりと伝えていければいいなと思います」と前を見据えた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)