「桜を見る会」巡り市民団体が刑事告発 若狭弁護士に「起訴の可能性」について聞いた

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   「桜を見る会」を巡る問題で、公選法違反だなどと主張して市民団体が安倍晋三首相に対する刑事告発状を東京地検に提出したと報じられ、今後は、地検がどう対処するかが焦点になっている。

   安倍首相側は、参加者が費用を自己負担したなどと説明している。地検が起訴する可能性などについて、専門家に話を聞いた。

  • 安倍首相は、参加者が費用を自己負担と説明(写真は、2017年9月撮影)
    安倍首相は、参加者が費用を自己負担と説明(写真は、2017年9月撮影)
  • 安倍首相は、参加者が費用を自己負担と説明(写真は、2017年9月撮影)

「告発を理由に国会答弁で逃げられる」との懸念も

   ジャーナリストや弁護士ら約50人でつくる「税金私物化を許さない市民の会」は2019年11月20日、安倍首相が公職選挙法と政治資金規正法に違反しているとして告発状を提出したことを会見で明かした。

   市民の会は、18日に会見するなどして、告発の内容を説明している。それによると、安倍首相が後援会などから約850人を「桜を見る会」に招待し、食事や酒を無料提供したことは、公選法上の買収に当たるとした。また、前日に都内のホテルで行われた夕食会については、会費5000円以外の差額を安倍事務所が負担したとすれば、公選法上の寄付に当たると指摘している。

   事務所が参加者から集金する前にホテルに支払いをしていれば、政治資金収支報告書に載せる必要があり、載せていないのは政治資金規正法違反だとしている。

   告発状の提出については、ニュースサイトのコメント欄などで様々な意見が書き込まれている。

   市民の会メンバーのSNSなどを見ると、憲法第9条を守る活動をしている人も多い。安倍首相を批判する人たちの間でも温度差があるようで、「告訴されてるから議会で答えられないと言って逃げられる」「もう少し推移を見守ってからでも遅くは無い」との疑問も上がった。

   これに対し、市民の会共同代表の田中正道さんは19日、過激な一部書き込みについて、こうした個人攻撃的な批判があるから市民運動がなかなか広がらないとフェイスブックで苦言を呈した。

「犯罪として、必ずしも特定されていない」

   一方、告発状提出に賛意を示す声としては、「総理の答弁に不明確なものがあるのだから仕方がない」「疑惑があるならこの方法が最も適切だ」「国会で裁判ごっこやってるよりはいい」などと書き込まれている。

   地検がどう対処するかについて、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は11月20日、J-CASTニュースの取材に次のような見方を示した。

「検察が起訴できる可能性は、極めて少ないと思います。犯罪として、必ずしも特定されていないからです。私は、桜を見る会には問題があると思いますが、そもそも告発もすんなり検察に受理されない可能性がありますね」

   ただ、若狭氏は、さらに大きな事件として立件できる可能性は残っていると指摘した。

「もしホテルが実際の料金との差額を負担し、事務所が会場費を支払わなかったりしていれば、ホテルが費用を安くしたことによる贈収賄も考えられます。総理の職務権限はオールマイティですので、ホテルへの何らかの許認可が絡んでいるかがポイントになると思います」

   もっとも、こうした事実は確認されていない。いずれにしても、若狭氏は、「検察が立件するのは、そんなに簡単ではありませんね」と話している。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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