将棋界8大タイトルの1つ「王将戦」挑戦者決定リーグ最終戦が2019年11月19日、東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われ、藤井聡太七段が126手で投了した。同対局に勝てば、最年少17歳でのタイトル挑戦となったが、あと1歩、及ばなかった。
創業50周年「大阪王将」が専用のキッチンカーを用意
藤井七段といえば、天才的な差し手はもちろんのこと、たびたび話題となるのが対局中に食べる「勝負メシ(将棋メシ)」だ。実は同日の対局は、正式名称を「第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ最終戦」と、少々、長いものとなっている。しかし、なぜ、今年に限って「大阪王将杯」が頭に付いているのだろう? 大阪王将を手掛けるイートアンド株式会社に聞いた。担当者によると、
「実は、大阪王将が2019年9月で創業50周年を迎えたんです。それで、同じ『王将』同士ということで、『将棋メシ(勝負メシ)』を特別協賛させていただくことになりました」
会場となった将棋会館には、特別なキッチンカーを用意。棋士のオーダーによって、その場で食事を作り、出来立てをお届けする...という粋な計らいだ。
ちなみに同日のお昼、藤井七段が注文したのは「覚醒のねぎあんかけ炒飯」と「復刻創業餃子」の2品。「腹が減っては戦はできぬ」とばかりに、これらを食して奮闘したが、格上の廣瀬章人竜王の前に最後は力尽きた。
「AI」を活用して分析、現代の若者らしいスタイル
今回は残念ながら敗北を喫したが、藤井七段の人気と勢いは増すばかりだ。師匠である杉本昌隆八段は、
「『AI』も活用していまして。その辺りは現代の若者らしいスタイルですね。自分や対戦相手のデータを『AI』に分析させ、傾向を調べたり、『AI』と戦うことで、対戦の勉強をする...といった感じです」
杉本八段は続けて、
「昔は『経験が大事』と言われた時もありましたが、今はその場、その場での『瞬発力』であったり、『判断』、『分析』などが求められる時代になってきています」
と話している。
ところで、将棋界の「8大タイトル」って何だ? 現時点では、竜王、名人、叡王(えいおう)、王位、王座、棋王、王将、棋聖となっている。