2020年度の夏ダイヤ(3月29日~)から羽田空港の国際線発着枠が拡大されるのにともなって、成田空港との住み分けが明確になってきた。
19年11月19日に日本航空(JAL)と全日空(ANA)が発表した羽田国際便の路線計画によると、ドル箱ともいえる北米路線が多く成田から引っ越す。羽田は、首都圏や国内線から乗り継ぐ人に向けた利便性を活かす。一方の成田は、アジア~北米の中継地としての機能を強化するのに加えて、新規路線を飛ばすなどの「挑戦」の場として位置付ける。
成田からはウラジオストク、ベンガルールに新規路線、LCCも就航
現行ダイヤで羽田から1日22便運航しているJALは、12便増えて34便になる。ロサンゼルス、上海(浦東)、大連の3便は新規開設だが、ニューヨーク、ダラス、シカゴ、モスクワ、デリー、シドニー、ヘルシンキの7便は成田から引っ越す。成田から4便飛んでいるホノルル線も、2便が羽田に引っ越す。
「跡地」になった成田には、サンフランシスコ、グアム、ウラジオストク、ベンガルールへの便が20年度上期に、シカゴ便が21年2月15日に就航。JALが出資する中長距離格安航空会社(LCC)「ZIPAIR(ジップエア)」も、5月14日にバンコク(スワンナプーム)、7月1日にソウル(仁川)便を開設。このうちウラジオストク、ベンガルールが新規路線だ。これ以外にも、20年度中にJALとZIPAIR合計で3~5便を就航させる予定で、現時点で1日40便の成田国際便は20年末には41~43便に微増する見通しだ。
アジア各地を午前中に出発し、夕方に成田で乗り継いで北米に向かう
JALの赤坂雄二社長は、羽田を「国内線=国際線(内・際)ハブ」と位置づけ、
「首都圏の皆さんの足として、利便性を向上させていきたい。特に、大きな国内線のネットワークを持っているので、それを活用した地域活性化への貢献(に加えて)、インバウンド、国際線から国内線、海外のお客様をどんどん運んでいく」
などと説明。一方の成田は「国際線=国際線(際・際)ハブ」で、
「成田空港は北米と東南アジアのど真ん中にある、非常に地政学的に重要な空港。この地域的な特性をきちんと活用して、米国とアジアをつなぐ中継地としてのハブ機能を強化していきたい」
「ウラジオストク線が代表的だが、新路線を挑戦していく拠点にしていきたい」
などと話した。大貫哲也・国際路線事業本部長は、「夕方発着は成田に残っている」と説明。アジア各地を午前中に出発し、夕方に成田で乗り継いで北米に向かう、という利用を想定しているとみられる。
全日空(ANA)も、11月19日、国際線の羽田発着便を14便増やすことを発表。日本の航空会社として初めて乗り入れる深?、イスタンブール、ストックホルムの3都市をはじめ、サンフランシスコ、青島、モスクワ、シドニー、ミラノ線を新たに開設。サンノゼ、シアトル、ヒューストン、ワシントン、デリーの5路線は成田から引っ越す。成田から1日2便飛んでいたロサンゼルス便は、成田と羽田で1便ずつになる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)