「6場所優勝力士が全部違う」ことの意味とは?
さらに、この事実を紐解くと、興味深い事実が浮き彫りとなる。1972年を考えるとこれ以前の70年代初頭は、北の富士、玉の海が時代を築いてきた。ところが71年に玉の海は急逝、残った北の富士も、72年夏場所で初優勝するなど力を付けてきた輪島、さらに続いて頭角を現した北の湖にその座を譲る形となって74年に引退した。その後、この2人を中心とした「輪湖時代」が築かれる。
1991年にも似たようなことが言える。それまでは千代の富士の独壇場だったが、若手の若花田(若乃花)、貴花田(貴乃花)、曙らの若手が台頭してきた時だった。同年夏場所初日、貴花田に敗れ、3日目には貴闘力にも敗れた。その夜、会見を開き「体力の限界...。気力も尽き、引退することになりました」と嗚咽(おえつ)を漏らしながら語った姿を、記憶されている読者も多いだろう。
再び、2019年に目を向けてみよう。幕内最高優勝42回という金字塔を打ち立てた白鵬も、現在34歳。20代後半は無類の強さを誇ったが、ここ数年はケガでの休場が目立つなど、明らかに「曲がり角」に差しかかっている。これを裏付けるかのように、2019年9月には年寄襲名の前提条件となる日本国籍取得を発表。これは「引退を念頭に置きつつ、角界に残る」との意思表示に他ならない。