「ゼロックス」の名前はどうなるか
その後の双方による協議の結果が、富士ゼロックスを巡る合弁の解消という今回の決定だ。製品供給先について、従来は富士ゼロックスがアジア太平洋地域、米ゼロックスが欧米と、すみ分けていたが、合弁解消によって、富士ゼロックスは世界中で米ゼロックス以外にもOEM(相手先ブランドによる生産)供給ができるようになり、そこで成長を狙う。合弁解消を発表した記者会見で古森氏は、「経営の自由度は拡大する」と強気な姿勢を示した。
ただ、コピー機の代名詞にもなった「ゼロックス」ブランドを富士ゼロックスが使用できる権利は2021年までで、その後がどうなるか不透明だ。また、逆に成長するアジア市場に米ゼロックスが進出して、富士ゼロックスと競合する可能性もあり、富士フイルムHDにとって合弁解消は「両刃の剣」になりかねない。
一方の米ゼロックスは合弁解消発表に前後して、米HPに対して買収を提案した。買収額について、ロイター通信は約330億ドル(約3兆6000億円)と伝えている。今回の合弁解消が、世界の事務機器メーカーの大型再編の引き金になるか。