正体不明のアーティスト、バンクシーの展示会が、本人が公認しないままの状態で、2020年に日本で開く計画があることが分かった。
民放キー局2局が主催に関わっており、それぞれ別々に開く予定だ。展示会の事務局ではともに、「コレクター所有の作品展示で、著作権などはクリア済み」だと説明している。
テレ朝など主催の展示会は、「日本初上陸」とうたう
「バンクシー展 天才か反逆者か」。公式サイトによると、テレビ朝日などでつくる製作委員会主催の展示会は、こんなタイトルで2020年3月15日から9月27日まで横浜市内のアソビルで開かれる。
ほぼ同じタイトルの展示会が、モスクワなど世界4都市で18年から順次開かれており、「日本初上陸」とサイト上でうたっている。
展示されるのは、バンクシー企画のテーマパーク「ディズマランド」で展示するなどした本人作品70点以上で、過去最大級だという。10月に大阪でも開く予定があり、地方でも開催が検討されている。
また、日本テレビなどが主催する展示会は、「BANKSY展(仮称)」のタイトルが付けられ、公式サイトによると、20年8月29日から12月6日まで東京都品川区内の寺田倉庫G1ビルで開かれる予定。
バンクシーがコレクターに譲った作品などが展示され、大阪での巡回展も開かれるとしている。詳細は、20年春に発表するそうだ。
イギリス中心に風刺画をゲリラ的に描いているバンクシーは、18年に落札直後の作品をシュレッダーにかけて世界的な話題になった。日本でも19年1月、都内の防潮扉で見つかった傘を差すネズミのような絵について、バンクシーの可能性があると小池百合子知事がツイッターで紹介し、4、5月にはその展示会も開かれている。
「展示作品は公認」「著作権はクリア」
世界各国のバンクシー展については、本人のものとされる公式サイトでは、同意したものではないと明かしている。自身の関わりなどなく組織化されており、それなりに見てほしいとして、テレ朝関連の海外展も含むそれぞれの展示会を「フェイク」だと揶揄した。
バンクシー関連の著書が多いライターの鈴木沓子さんが11月9日、こうした事情をツイッターで投稿し、2000件以上もリツイートされたことをきっかけに、展示会のあり方が論議になっている。
テレ朝など主催の展示会は、「UNAUTHORIZED EXHIBITION」(=無許可の展示会)となっている。バンクシー非公認であることを認めた形で、展示会のPR事務局は11月14日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。
「バンクシーの言う『フェイク』がどういった意図なのかは分かりませんが、展示作品は公認されており、コレクター所有のライセンスがあるものになります」
日テレ展示会のPR事務局に15日に聞くと、カナダ・トロントで18年にあったBANKSY展を日本に招いて開くと説明した。
このBANKSY展の公式サイトでも、展示会は「UNAUTHORIZED」と説明しており、バンクシーとされる公式サイトでは、同様にフェイクだとしている。日テレ展示会の事務局では、「コレクターから貸し出しを受けたバンクシー作品で、著作権などはクリアされています」と話している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)