関係者によるトークショーも
スバル関係者によると、「WRXはスバルのアイコン」で、スバルに入社する開発エンジニアの多くは「いつかWRXを設計・開発したくて入社する」という。日産に入社するエンジニアが「GT-RやフェアレディZを担当したい」と思うのと同じだそうだ。
とりわけ2008年のリーマン・ショック後、スバルが世界ラリー選手権(WRC)から撤退した後、歴代社長がマスコミのインタビューなどで「WRC復帰」に関する発言をすると、社内が浮足立つため、社長が安易な発言を慎んでいたという話は有名だ。それだけスバル社内にはWRX好きが多く、エンジニアが作りたいクルマを作り、ファンに支持されてきたといえる。
会場では、スバルの開発エンジニア出身で、STI社長の平岡泰雄氏、初代レガシィの開発テストドライバーとして活躍した辰己英治氏(現在はSTIレース部門の総監督)らが登壇し、トークショーを行った。
平岡氏は「(1966年発売の)スバル1000からスバルは水平対向エンジンだが、スバルは中島飛行機がルーツだ。飛行機のエンジニアにとって、運動性能は命で、水平対向は必然の選択だった」と述べた。
辰己氏は「(レガシィの前モデルの)レオーネは舗装路を軽快に楽しく走るクルマではなかった」「もしもレガシィが直列エンジンを選んでいたら、今みなさんはここにいなかっただろう」などと述べた。さらに辰己氏は「低重心のシンメトリカル(左右対称)AWDとして、ハンドリングのよいクルマを作ろう」というのが、初代レガシィの命題だったと振り返り、初代レガシィが今日のスバルを築いたとの考えを示した。
このほか、2003年に世界ラリー選手権で総合優勝したスバルのエースドライバー、ペター・ソルベルグと、先輩のトミー・マキネンもスペシャルゲストとして登場。ペターは3代目WRXのラリー仕様車でデモ走行を披露。ラリーで優勝した時、前輪をコンパスの針のようにして、後輪で円を描く「ドーナツターン」を披露し、ファンの声援を浴びた。
参加した1000台のWRXオーナーは総じてマナーがよく、会場内はもちろん、帰路の高速道路でも折り目正しい走りをしていたのが印象的だった。