配当予想の引き下げがWパンチに
にもかかわらず、ダブルパンチで市場心理を冷やしたのが配当予想の引き下げだった。従来の年間配当予想は1株106円だったが、6円減額し100円とした。前期実績(99円)からの増配幅は7円から1円に縮む。今期はすでに中間配当52円を実施しているので、期末配当は48円となり、前期実績(54円)を下回る。アサヒGHDは「業績予想を修正したことに伴うもの」と説明している。SMBC日興証券は「アサヒらしからぬ失策」と題した5日付リポートで「想定外のネガティブ。株主重視の姿勢を貫き、踏ん張ってほしかった」と失望ぶりを露わにした。
5日の発表を受けて6日のアサヒGHD株は急落。当日高値が前日安値を175円も下回り、チャート図に大きく「窓を開ける」節目の展開となった。終値は前日比6.1%(334円)安の5181円。その後はやや持ち直し、14日時点では5200円台半ばまで戻しているが、勢いは鈍い。
アサヒGHDの株価は1月15日に年初来安値の4171円をつけた後、10月16日の5578円の年初来高値までほぼ上昇基調をたどっていた。この間、国内でビールが爆発的に売れたわけではないが、7月に発表した豪州事業を約1兆2000億円で買収する案件など思い切った海外展開が評価されていた。そうした中で配当減額による投資家の失望売りというつまずきを回復できるか、市場は国内ビール事業の改革など次の一手を注視している。