朝日新聞社は2019年11月14日、批判が集まっていた紙面広告をめぐり、「媒体として十分な検討を行うべきでした」とするコメントを発表した。
同社は、11月12日付(東京、大阪、名古屋各本社版)、13日付(西部本社、北海道支社版)の朝刊で、「重曹でガンが消えた!」などと謳う書籍の広告を掲載していた。
「ネットの闇(デマと中傷)と闘い、訴え続けた真実!」
タイトルは『イタリア人医師が発見したガンの新しい治療法』(現代書林)。医学博士を名乗るトゥリオ・シモンチーニ氏監修のもと、ホメオスタシス総合臨床家との肩書きの世古口裕司氏が執筆した新書だ。
広告では「ガンは真菌だ!」「重曹でガンが消えた!」「ネットの闇(デマと中傷)と闘い、訴え続けた真実!」などと宣伝されている。
しかし広告の訴求内容をめぐっては、複数の医療従事者からSNSで疑問視する声が上がり、掲載を認めた朝日新聞社への批判も少なくなかった。
同社は14日、公式サイトで広報部名義の声明を発表し、「この治療法の発見者とされる人物が、がん治療をめぐってイタリアで医療行為ができなくなったなどとする現地報道が確認できました」と報告。
続けて、「これらの報道内容がすべて事実かどうかや、治療法の医学的な有効性、司法手続きの最新状況といった事柄まではすぐには判断できませんが、少なくとも、この書籍の広告がシモンチーニ氏を『医師』と表示して治療法を紹介していることには疑念があります。広告表現は広告主の責任においてなされるものですが、『ガンは真菌(カビの一種)だ』などとする表現は媒体として十分な検討を行うべきでした」「出版物の広告は、できる限りその表現を尊重していますが、掲載判断にあたっては、内容に応じて慎重なチェックに努めてまいります」と同社に過失があったと認めた。