巨人の原辰徳監督(61)が2019年11月13日、楽天からFA宣言した美馬学投手(33)と直接交渉を行った。美馬との交渉は今回が4度目となり、初めて指揮官が直接出馬。約30分間にわたり原流の熱い言葉で「誠意」を見せたという。ヤクルト、ロッテ、そして宣言残留を容認している楽天との激しい争奪戦が繰り広げられるなか、指揮官出馬の「伝家の宝刀」を抜き猛アピールした。
条件面では巨人とロッテがほぼ同等か
美馬獲得へ向けて巨人の動きは早かった。交渉解禁日の11月3日に球団は極秘に美馬と初交渉に臨み「誠意」を見せた。6日には2度目の交渉を行い、在京球団を望む美馬に対して環境面での利点を説いたという。これまでの3度の交渉で3年総額5億円超を提示したとみられる。3度の交渉はすべて極秘で行われ、4度目の交渉で満を持して原監督が直接出馬した。
美馬獲得に名乗りを上げるのが、巨人、ヤクルト、ロッテの在京3球団。美馬が在京球団を望んでいることから楽天残留の線は薄いとみられる。条件面でみてみると、巨人とロッテが3年総額5億円超を提示したとみられ、ヤクルトは3年総額3億6000万円を用意している模様だ。いずれも33歳のローテーション右腕を高く評価している。
来シーズンに向けた巨人の補強ポイントのひとつが、先発の即戦力だ。タフさがうりの美馬は今シーズン143回3分の2を投げ8勝5敗、防御率4.01をマークした。シーズンを通してマウンドに上がり続けるベテラン右腕を原監督は高く評価しており、来シーズンのローテーション入りを期待している。
33歳ベテラン右腕にG党からは厳しい意見も
美馬が巨人に加入すれば、先発陣の厚みがより一層増すことは間違いないが、G党からは困惑の声が上がっている。ネット上で指摘されるのは、美馬の33歳という年齢と、獲得に伴う人的補償に関するもの。FAでベテランを獲得するよりも、若手の育成に力を入れてほしいとの意見が目立ち、現在の巨人には「必要ない」との厳しい意見もみられる。
巨人は今オフのFA戦線で美馬に続いてロッテ鈴木大地内野手(30)の獲得に名乗りを上げている。鈴木とはすでに3度、交渉したとみられ3年以上の複数年で5億円程度を提示した模様だ。美馬、鈴木ともに金銭もしくは人的補償が伴うランクの選手で、巨人が美馬、鈴木の獲得に成功すれば、巨人から2選手がそれぞれ人的補償として流出する可能性がある。
昨年は、長野久義外野手(34)と内海哲也投手(37)が人的補償として広島、西武に移籍した。FA補強に人的補償はつきものとなるが、昨年の長野、内海の件もあり人的補償、プロテクトに関してG党はナーバスになっている。原監督がスケジュールを変更してまで直接出馬した「誠意」は美馬に伝わったのか。G党の不安は杞憂に終わるのか。33歳の右腕の動向に注目される。