運動会などで行われる組み体操の技の一つで、かねてから危険性が指摘されていた「人間起こし(トラストフォール)」で、過去3年間(2016~18年)に145件の事故が起きていたことが分かった。
中でも頭部のケガが39件と突出しており、専門家は「危険だという事を訴え続けないと、人間起こしの事故件数は増え、重度障害事故が必ず起こります」と危機感を募らせる。
兵庫県で多発。頭部のケガが突出
人間起こしは、数人の土台の上に1人が立ち、後ろ向けに倒れて土台が受け止めるという技だ。その後、振り子のように前後に揺れる動作を繰り返す。
組み体操の解説書『運動会企画 アクティブ・ラーニング発想を入れた面白カタログ事典』(学芸みらい社)では、人間起こしを「3段以上のタワー」「ピラミッド→全員崩し」「四角錐(すい)を作る立体ピラミッド」とともに難易度、危険度が高い技だと紹介する。
日本スポーツ振興センター(東京都港区)の災害共済給付件数に基づき、大阪経済大の西山豊名誉教授が2019年11月11日、人間起こしの事故統計を発表した。
16~18年に全国の小中高校で起きた事故は145件で、小学校が115件と最多。年度別でみると、16年は48件、17年は49件、18年は48件と横ばいに推移する。
3年間で最も多く事故が起きているのは、兵庫県で30件。以下、大阪府(18件)、埼玉県(13件)、愛知県(12件)、東京都(8件)と続く。
ケガは頭部の39件が突出して多く、「頭部打撲」「頭部外傷」「外傷性脳出血の疑い」「脳挫傷の疑い」などが報告された。