安倍晋三首相の後援会メンバーが多数招待されたとして問題化していた「桜を見る会」について、菅義偉官房長官が2019年11月13日の記者会見で、20年度については開催を取りやめると発表した。「招待基準の明確化や、招待プロセスの透明化を検討」とも説明した。
この会見の約30分後には、野党の調査チームによる合同ヒアリングが組まれていた。出席した野党議員からは「自分も出たかったな~」という皮肉めいた声があがり、座長を務める立憲民主党の黒岩宇洋(たかひろ)衆院議員は、「疑惑が消えないばかりか、さらに疑惑が深まったのではないか」などと語気を強めた。
安倍事務所からの「推薦」明らかに
黒岩氏は冒頭発言で、「疑惑が深まった」理由について「70年近く歴史のあるこの会を、中止せざるを得ないぐらい(中略)総理自身がこの内容について答えきれないという結果」などと説明。
「来年が中止になるだけで、これまでの安倍政権の『桜を見る会』の歴史が全て消えてなくなるわけではない」
「公職選挙法違反、政治資金規正法違反まがいのことをしっちゃかめっちゃかにやって、そして自分で伝統ある、歴史ある『桜を見る会』をなくしてしまう。こんな無責任、傍若無人な安倍政権の対応が現れた対応」
として、さらに追及を強めていきたい考えだ。
野党にとって優先順位が高いのが、安倍氏の後援会メンバーが多数含まれているとみられる、招待者名簿の内容の解明だ。今回のヒアリングでは、安倍氏の事務所から推薦を受けた人がいることが明らかにされた。
内閣府の酒田元洋・大臣官房総務課長は、「内閣府は、各府庁からの推薦を受け取っている」と説明する一方で、内閣官房の中井亨・内閣参事官(内閣総務官室)は、官邸や与党の国会議員から推薦された人について
「内閣官房と内閣府で共同の事務局をしているので、(推薦者)取りまとめの際に、一省庁としての内閣官房の推薦に入れている」
と説明。その中に安倍事務所からの推薦が含まれるかについて
「事務所には最終的に確認して推薦をいただいている」
と述べた。推薦枠の大きさなどについては、名簿がすでに廃棄されているとして回答しなかった。
「安倍総理の答弁は虚偽答弁ですね?」
安倍氏は11月8日の参院予算委員会で
「私は、主催者としてのあいさつや招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめ等には関与していない」
と答弁しており、内閣官房が言うところの「事務所に確認して推薦」とは齟齬(そご)がある。野党としては、
「安倍総理の答弁は虚偽答弁ですね?」(野党統一会派・山井和則衆院議員)
として安倍氏本人に説明を求めていきたい考えだ。内閣府と内閣官房が「廃棄した」と主張している名簿についても、「推薦元」の省庁に提出を求めている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)