「本当に必要な選手だけ獲得に動く」 ソフトバンクの強さ支えるFA戦略

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   今年はFA補強に乗り出す球団が多い。

   ソフトバンクからFA宣言した福田秀平には西武、中日、ヤクルト、ロッテ、楽天の5球団が獲得に名乗りを上げた。また、ロッテの鈴木大地には巨人、楽天が参戦し、楽天の美馬学も巨人、ヤクルト、ロッテと3球団の争奪戦になる模様だ。

  • ソフトバンクの本拠地ヤフオクドーム。来季のチーム編成は?
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鈴木も美馬も、いればもちろん頼もしいが...

   ここで気になるのがソフトバンクだ。昨オフは獲得こそ叶わなかったが、楽天・浅村栄斗、阪神・西勇輝とFA交渉を行った。今オフは、なぜ動かないのだろうか。ある球団スコアラーはこう分析する。「FA権を行使した選手たちを見て、現有戦力の中に加える必要がないと判断したのでしょう。ソフトバンクは資金力があるので補強も派手に行っているイメージがありますが実態は違います。FAも本当に必要な選手だけ獲得に動く。育成に主眼を置いたチーム作りがブレないのが、長年強さを維持できる秘訣だと思います。育成枠で入団して主力に成長した千賀滉大、甲斐拓也、牧原大成は象徴的な選手です」。

   過去にFAで獲得した選手数を球団別に見ると、巨人が最多で26人。2位はソフトバンクだが、数は半分の13人だ。最後に獲得した選手は13年に中田賢一(現阪神)、鶴岡慎也(現日本ハム)と6年前にさかのぼる。今オフはFA宣言した福田を慰留しているが、ロッテ・鈴木、楽天・美馬の獲得に乗り出していない。チーム戦略として長期的な展望で考えた末の決断だろう。

   確かに鈴木も美馬もいれば頼もしい存在になる。鈴木は内外野を守り、打撃もパンチ力とミート力を兼ね備えている。周囲を引っ張るキャプテンシーも魅力だ。また、美馬も先発ローテーションで1年間投げられる貴重な戦力だ。ソフトバンク戦は今季3勝1敗、防御率1.97と抜群の強さを誇った。天敵が味方になればこれほど頼もしい存在はいない。

V9時代の巨人と重なるチーム編成

   一方で美馬を獲得すれば先発が1枠埋まり、若手の登板機会が減る。鈴木を獲得した場合も他の選手の出場機会を考えた時に同じことが言える。また、FAで他球団の選手を獲得しても活躍しない可能性がある。若手の出場機会が奪われることを考えると、その損失は大きい。

   「かつての巨人と今のソフトバンクはチーム編成が重なる」という声は少なくない。V9時代の巨人もメンバーは変わっていったが、主力は生え抜きばかりで、400勝左腕の金田正一ら他球団からの移籍組はごく一握りだった。FA戦略で乱獲しないソフトバンクは他球団も参考になる部分が多いかもしれない。

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