毎年4月に首相主催で開かれる「桜を見る会」に、安倍晋三首相の選挙区がある山口県から多数の後援会関係者が招待されていたとされる問題で、野党は調査チームを立ち上げて追及を加速させる。
焦点のひとつが招待者名簿だ。2019年11月12日に国会内で開かれた野党合同ヒアリングでは、内閣府の担当者は「従前から保存期間が1年未満で遅滞なく廃棄することになっている」ため、すでに存在しないと主張した。「桜を見る会」は、内閣府が各府省に招待者の推薦を依頼する仕組みで、野党としては、内閣府から依頼を受けた各省庁に名簿を提出させるなどして全容解明を進めたい考えだ。
「後から出てきたら大変なことになると思うが...」
合同ヒアリングで主に答弁したのは、内閣府の酒田元洋・大臣官房総務課長。追及チームの座長を務める立憲民主党の黒岩宇洋(たかひろ)衆院議員は「後から出てきたら大変なことになると思うが...」と断りながら、「電子的なバックアップを含めて全く存在しないのか」と念を押したが、酒田氏は「保存期間が1年未満」だとして、紙・電子媒体を含めて廃棄したと説明。廃棄した具体的な方法や日時については、後日改めて説明することになった。
招待者名簿ができるプロセスで重要なのが「どの府省が誰を推薦したのか」だが、内閣府は「個人情報」を理由に、各府省に何人程度の「枠」があるかについても答えなかった。そこで、
「大体何人ぐらいで、というのも書いてあるはず」(共産党・田村智子参院議員)
として、内閣府が各府省に推薦を依頼した際の文書を出すように求めたが、酒田氏はこの文書も廃棄したと主張した。依頼文書は、日付や年度だけを書き換えて毎年使いまわす性質のものだとみられ、野党側からは
「毎年やっている事業の文書を毎年捨てて保存もしてないって、およそ役所の仕事とは思えない」
などと驚きの声が上がった。「その文書、電子的なひな形も、いちいち削除する?」という声には、酒田氏は「さようでございます」と応じた。
「全員が捨てたってことはありえない」(野党統一会派・小西洋之参院議員)
といった声もあがり、各府省に名簿が残されているかどうかも焦点だ。