トヨタ自動車が子会社のダイハツ工業の軽スポーツカー「コペン」をベースに、トヨタのスポーツブランドである「GR(ガズー・レーシング)」を冠した「コペンGRスポーツ」を発売した。ダイハツのクルマをトヨタが「GR」ブランドで発売する初めてのケースだ。
2019年11月4日まで開かれた東京モーターショーにも出品され、人気を呼んだ。
双方の開発課題がかみ合った
トヨタはこれまで自社の市販車のスポーツチューンモデルを「GR」ブランドで販売してきた。スープラ、86(ハチロク)、プリウス、アクア、ヴィッツなどに「GR」モデルが存在し、モータースポーツ参戦からフィードバックした最新の技術を投入してきた。
ところが子会社とはいえ、ダイハツ車にGRブランドを冠し、名称もダイハツの「コペン」のまま流用するのはトヨタとして初めてだ。例えば、トヨタにはSUBARU(スバル)と共同開発したスポーツカー「86」があるが、姉妹車の「スバルBRZ」とは明確に区別している。86にGRモデルは存在するが、BRZにGRモデルなどありえない。スバルには「STI」という専用のスポーツブランドがあるからだ。
これに対して、今回はトヨタとダイハツが同じ「コペンGRスポーツ」をそれぞれ自社で販売することになった。正確には「ダイハツコペンGRスポーツ」だけでなく、「トヨタコペンGRスポーツ」が存在するということになる。
ダイハツによると、2014年に発売した現行の2代目コペンをめぐっては「発売から5年がたち、次の一手を打つ必要があった」という。このためコペンのオーナーイベントに参加した顧客にアンケートしたところ、オーナーから「さらに走行性能に磨きをかけてほしい」という要望が出た。具体的には「操縦安定性や、これまでのコペンにはないスポーツ性を突き詰めてほしい」という声が多かったという。
同じころトヨタも「自社のラインアップにない軽の2シーター・オープンスポーツ」であるコペンに注目しており、「GRブランドのバリエーションを充実させたい」という思いから「両社のスポーツモデル開発をめぐる課題がうまく合致した」という。