私たちが毎日、お世話になっているトイレ。11月10日は「いいトイレ」=「トイレの日」だ。日本では公衆トイレでも、当たり前のようにトイレットペーパーが常備されている。日頃、お世話になっているトイレットペーパー、トイレの最新事情を探ってみた。
後始末に紙を使うようになったのは江戸時代から
J-CASTニュースでは、トイレットペーパーの現状を調べるため、同製品製造大手の「日本製紙クレシア」を取材した。同社では「クリネックス」、「スコッティ―」といった、お馴染みのトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの製造、販売を手掛けている。
そもそも、トイレの後始末に紙を使うようになったのは、いつからなのか? 日本製紙クレシア担当者によると、
「日本の庶民が、トイレの後始末に紙を使うようになったのは、江戸時代からだと言われています」
何でも、江戸産の「浅草紙」と呼ばれるものがあったそうだ。これは、クズ紙を水に溶かして作られた「再生紙」だったらしい。また、明治になって登場した新聞紙も、最後はトイレの落とし紙に使われたという。記者も、亡くなった祖母から「昔は(お尻が痛くないように)新聞紙を手で揉んでクシャクシャにして、それで拭いていた。でも当時は印刷の精度が高くなくて、お尻にインクが付くようなことも、あった」という話を聞いたことがある。
日本製紙クレシアの担当者によると、
「トイレットロール(ペーパー)は、水洗トイレの普及によって、必需品となってきました。元々はアメリカ発祥で、各社がノウハウを生かして『やわらかいミシン目付き』を発売したそうです」
当時から、今の「ロール状」だったそうで「1ロール=45円」という小売価格だった。今の時代、「12ロール=300円程度」で販売されていることを考えれば、相当、高価な商品だったと言えるだろう。
ちなみに、今のトレンドは「ペーパーの長尺化」なのだそうだ。
「近年では『3倍長持ち』という商品を発売しています。従来は『1ロール=25メートル』でしたが、改良によって『1ロール=75メートル』にまでなりました。お買い物時にもコンパクトで持ち運びに便利ですし、収納時の保管スペースも取りません。また、取り替え回数が少ない...といった部分でも好評をいただいております」
一方、トイレの最新事情は...
2019年、日本代表が初の8強入りを遂げ、列島を熱狂の渦に巻き込んだ「ラグビーW杯2019日本大会」だが、2020年には「東京オリンピック・パラリンピック」が開催される。そんな中で耳目を集めているのが、成田空港のトイレだ。
トイレメーカーの大手「TOTO」は、多くの観光客来日に向け、2019年4月から成田空港内の「ウォシュレット(TOTOの登録商標)」のハイテクバージョンを、空港第1ターミナル南ウイング1階(到着ロビー)に開設した。
TOTO担当者によると、
「従来のボタン式リモコンでは、日本語と英語の2言語対応でしたが、タブレットを活用することにより『日本語』、『英語』、『簡体字中国語』、『繁体時中国語』、『韓国語』の5言語に対応できるようになっています」
操作パネルとして設置されているタブレットで言語を選び、手順によって操作すると、海外では途上中の「ウォシュレット」を分かりやすく、楽しく体験できるという仕組みだ。
また画期的なのが、男女の「個室空き情報」を随時、トイレ外のモニターで表示しているところだ。例えば個室7つのうち、すべてが埋まっていれば「0/7」、4室空いていれば「4/7」という形で表示される。いわゆる「トイレ渋滞」が緩和できる...という訳だ。
日本国内では、大規模な国際スポーツイベントが続くが、こういったトイレ事情からも、海外の人々を「お・も・て・な・し」しようとしている。