東アジアの国際関係へ影響も... サムスンの中国事業に、私が注目する理由

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「次の成長戦略見いだせない」厳しい見方もあるが...

   同社はこれまで、半導体、電池、積層セラミックコンデンサー(MLCC)を中心に、累計で日本円にして2兆円を突破する規模の巨大投資を中国で進めてきた。その象徴といえるのが、西北部・陝西省西安市にある西安半導体工場だ。12年9月に1期工事を開始、18年3月には2期着工。2期の総投資額だけで140億ドル(約1兆5400億円)を超える規模だ。そこに新たに、スマホやカメラ、データセンターの機能を左右するNAND型フラッシュメモリーの設備投資追加が発表されたわけだ。新ラインは来年春には稼働し、5Gに対応した新製品をファーウェイなどにも供給するという。

   ちなみに、李国強首相が10月14日、この新工場を視察して、「世界の先端企業による中国投資拡大歓迎」「知的財産権の徹底的保護」「中国内の内外企業の同等待遇」をメッセージとして発した。サムスンの西安工場は外国企業の対中投資規模としては最大級。米中摩擦が続く中、外資の中国離れを阻止したい中国政府としても、格好の広告塔といえる存在である。

   これから5G、AI、モノのインターネット(IoT)時代の本格化を控え、半導体需要の拡大は見込まれる。だが、「サムスンにとって半導体は一度終わったコンテンツではないのか」という疑問を口にする人や、「次の成長戦略が見いだせない」という厳しい見方はある。確かに、日本に追いつき追い越した半導体事業で隆盛を極め、その後にスマホで大いに稼いだ時代がサムスン電子の最盛期だったかもしれないという気持ちは私にもある。むしろ、だからこそ私は、サムスンの今後の中国展開が順調に進むかどうかに注目している。

   同社は昨年、単体売上高の32.1%を中国で達成し、国別ではアメリカを上回る世界一となった。韓国経済を支える存在のサムスンが、依存度最大となった中国でどんなパフォーマンスを上げるかは、今後の中韓、そして日本を含めた東アジアの国際関係に影響を及ぼすことは必至だろう。政治や外交の安定は、それぞれの国の経済状況が順調であって初めて実現するものだから。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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