大きな被害をもたらした台風15号上陸の翌日、千葉県の森田健作知事は、自宅が心配で公舎がある千葉市から、数自治体をはさんだ芝山町へ自宅を見に行ったのか。しかも片道は公用車を使って移動して――
週刊文春報道などで浮かんだ数々の疑問点について、森田知事が定例会見で釈明を行ったが、これまでの議会などへの説明と異なるところも多く、疑念は深まる状態となっている。会見翌日のテレビのワイドショーでは、「苦しい弁明」(東国原英夫・元宮崎県知事「バイキング」)といった、あきれたようなコメントが相次いだ。疑念を持たれている状況について、森田知事はどう弁明したのか。あらためて会見内容や状況を振り返る。
なぜ自宅へ公用車で?
知事会見は2019年11月7日にあった。週刊文春の最新号(11月14日号)で「(台風15号直撃の翌日に)公用車で別荘」と報じられた件で質問を受けると「別荘ではなく自宅」と弁明したが、そもそも、これまでの説明では公用車での移動先は「富里市方面」とだけ明かしており、「自宅」や自宅がある「芝山町」という言葉は出ていなかった。台風15号の千葉上陸は9月9日だった。
位置関係を確認すると、富里市は、千葉市の(隣接しない)北東部にあり、知事の自宅がある芝山町の(隣接する)西部にあたる。
問題の9月10日午後の知事の移動に関する県側の従来の説明は、次のようなものだった。――知事は被災地を私的に視察するため、公用車で酒々井インターチェンジ(富里市の隣接西部にある酒々井町)を降りてコンビニエンスストア(の駐車場)に向かい、そこで知事の私有車に乗り換えて、富里市周辺を視察した――
11月7日の会見で、この件に関して記者から指摘された主な疑問点の一端は、(従来からの疑問も含め)次のようなものだ。
(1) なぜ、台風被害の対応に県庁などが追われている、直撃翌日の9月10日午後というタイミングで、特に大きな被害が確認されていた県南部ではなく、その段階では「人的・家屋の被害は報告されていない」(文春記事登場の「千葉県議」)、県東部にあたる「富里市方面」を「私的に」視察したのか?
(2) なぜ自宅へ公用車で?
(3) なぜ、乗り換え場所について、これまで「自宅」と説明してこなかった?なぜ公用車の運転日誌の「行き先・経由地」欄に「(千葉)市内」と誤った記載がされているのか?
(4) 知事は自宅が気になって県庁を離れたのではないか、と疑問を持つ県民もいそうだが、問題ないと考えるのか?
などなどだ。知事の回答は概ね次のようなものだった。