10カウントKOは「後味が悪い」?
10カウントギリギリすぎて「KOだったのではないか」という見方もある。木村氏はこうした意見に理解を示しつつ、WBSS決勝という大舞台のレフェリングの難しさを指摘する。
「通常ダウンした選手は8カウントくらいで立ち上がりますが、ドネア選手は10カウントぴったりくらいでした。確かにあれで試合終了してもおかしくはないですが、それだと後味が悪いとも言えます。
今回は世界で注目されたビッグマッチでした。レフェリーも中途半端な形で試合を終わらせることはできないと、慎重になっていたと思います。ドネア選手の立つ意思、戦う意思を感じたので、ギリギリですがKOにしなかったと見えます。
試合を止めなかったことで『カウントが遅いのではないか』と指摘されていますが、仮にあのボディで10カウントになったら、『レフェリー終わらせるの早いんじゃないか』という声があがった可能性もあります。それぐらい、目が離せない緊迫の一戦でした」(同)
ドネアについても、「明らかにボディが効いていたので、できるだけ休みたかったのでしょう。だからギリギリまで立たないことにした。そこも経験を積んでいるベテランだからこその冷静さ、強かさだと思います」とその冷静さに舌を巻いた。
勝負に「タラレバ」は禁物だが、もし井上の左ボディの後、レフェリーが制止せず試合が続いていたら、井上が畳みかけてKO勝ちもあったのだろうか――。木村氏にあえて聞いてみると「あのボディがかなり効いてましたからね。(KOは)なきにしもあらずだと思います」と話していた。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)