なぜ井上尚弥は制止されたのか 元世界王者・木村悠氏が指摘する「レフェリーの混乱」

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ドネアが見せた「試合を続ける意思」

   「ローブロー」とはトランクスのベルトより下にパンチを当てる反則で、注意か警告か減点となる。ローブローは結構なダメージになるため、回復のため30秒から1分程度の中断が入る。映像で見返せば、ローブローでなく「完全に井上選手のボディーブローが決まっていた」(木村氏)と分かるが、リアルタイムでは必ずしも判別がつくわけではない。

「流れの中でボディが入り、レフェリーも正確な判断ができなかった。私たちでも、試合を見ていてどのパンチがどこにどうヒットしたか、どれだけ効いたかは、角度によって見えないことがあります。

あの左ボディも一瞬で判断がつかず、レフェリーも混乱が生じたのかもしれません。井上選手のパンチの後、なぜドネア選手があのような動きをしたのか把握できなかった。だからいったん状況確認のために間に入り、止めたのだと思います」(木村氏)

   結果、ボディーブローだったと判断し、ダウンしたドネアのカウントが始まる。数え方が遅かったのではないかという疑問について、木村氏は「そこまで遅いというのはなかったと思います」と話す。

「ボクシングのダウンは、正確に1秒1カウントで計測するわけではありません。レフェリーの判断で試合続行するかどうかも決まります。ダウンした選手のダメージがたまっている場合に、選手自身が続けようとしてもレフェリーが止める場合もあります。

しかし今回の場面は、ドネア選手も片膝立ちになって試合を続ける意思を見せ、レフェリーも続行可能と判断した。ドネア選手は、レフェリーが指で10カウントを数えるのを見てしばらく立ちませんでしたが、レフェリーとしても『休んでいる』という印象になったと思います」(同)
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