南アフリカ(南ア)がイングランドを下し、最多タイとなる3度目の優勝を果たした「ラグビーW杯2019日本大会」。日本代表も、目標だった初の8強入りを成し遂げ、日本中が大騒ぎとなった。
「にわか」とも呼ばれるファンが急増し、J-CASTニュース記者の周囲でも「何だか寂しい...」、「44日間の熱狂が嘘みたい...」といったラグビー「ロス」の声も聞かれる。しかし、そんなことはない。
関係者「指定席は完売。自由席も、ほぼ売り切れです」
記者は早稲田大学ラグビー部出身だが、毎年11月23日に行われる「早慶戦」、同12月第1日曜日に行われる「早明戦」を毎年、楽しみに見に行っている。これまではOB会に電話連絡し、チケットを頼み、当日に受付で現金払い...というのが常だった。例年なら、1カ月ほど前に連絡すれば、指定席を確保できていた。しかし、今年に限っては「指定席は完売。自由席も、ほぼ売り切れです」(早大ラグビー部OB会関係者)というから驚きだ。
また、パソコンやスマホでラグビー部同期とつながっているが、
「みなさん どなたかチケット4枚ください 高校の同期が欲しがっております」
「俺も2枚欲しい。誰か余りませんか?」
といったコメントも散見される。
早大ラグビー部OB会でも実態は把握できていないようだが、察するに、これまでラグビーに興味のなかった奥さまやお子さんが「パパ、ラグビーやっていたんでしょ? 見に行きたい!」。本来ならパパ1人で行くところが、W杯に熱狂した家族が「ママ+子ども」という形で、売り上げスピードが加速していったとも考えられる。
「学生スポーツのドル箱」とも評される
ラグビーの早慶戦、早明戦などは、昔から「学生スポーツのドル箱」とも評され、1980年代~1990年代にかけては、当日券を買い求める「徹夜組」が寒空の中で列をなした。旧国立競技場スタンドが6万人近い最多観客動員を記録したのは、サッカーのJリーグではなく、ラグビー早明戦だった...という話も、しばしば耳にする。
11月のこの時期は、秩父宮ラグビー場(東京・港区)周辺にあるイチョウ並木が黄色く色付き、秋の木漏れ日や乾いた芝が香る。記者にとっては、ふと、学生時代を想起させる時だ。特に待ち合わせしたわけでもない同期や先輩、後輩らが、そこら中にゾロゾロ。勝っても負けても、近所の居酒屋で「アイツはいい選手だ」、「あそこはこうすべきだった」、「オレたちの時代はこうだった」...などと、オッサン連中の話のタネになっていた。
チケット争奪戦でまさかの出遅れとなってしまい、悔しい思いもあるが、それ以上に、世の中の人々がラグビーというスポーツに大きな興味を持ってくれたことに感謝したい。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)