神奈川県西部と横浜を結んでいる相模鉄道(相鉄)とJR東日本が2019年11月7日、相鉄線から都心に乗り入れる電車の試乗会を報道陣向けに開いた。
純粋な新規開業期間はほとんどがトンネルだが、これまでは乗る機会が少なかった貨物線の線路も通る。普段は見る機会が少ない貨物機関車や貨車を横目に、新たな車窓が楽しめそうだ。
新設の羽沢横浜国大駅、ホームにはまだ脚立が
相鉄の都心への乗り入れはJR東日本、東急の2段階で進む。11月30日のダイヤ改定で始まるJR東日本への乗り入れでは、相鉄の西谷駅(横浜市保土ケ谷区)と、JR東海道貨物線横浜羽沢駅(同神奈川区)の横に新たに建設した羽沢横浜国大駅(同)とが、2.7キロの連絡線で結ばれる。
海老名を出発した相鉄の電車は、連絡線から貨物線に入り、「湘南新宿ライン」のルートでもある武蔵小杉から、都内の大崎、渋谷を経て新宿まで乗り入れる。朝の時間帯の一部列車は、さらに先の池袋・赤羽・武蔵浦和・大宮方面まで直通し、最も遠い列車は川越まで運行予定だ。
試乗会の列車は西谷駅から出発。西谷駅は、これまでは普通列車しか停車しなかったが、ダイヤ改定後には特急も停車するようになる(JRに直通しない急行は引き続き通過)。西谷駅は地上駅で、出発すると横浜に向かう線路から分岐して、新設の連絡線に入り、すぐにトンネルに突入。2分ほどして羽沢横浜国大駅に到着した。列車のドアは閉まったままで駅内を歩くことはできなかったが、ホームにはまだ脚立が置かれ、作業員が掲示物の取り付け作業を進めていた。ここで運転士が相鉄からJRに交代し、羽沢横浜国大駅を出発。ここからがJRの線路だ。ほどなくして地上の貨物線に入り、横浜羽沢駅や貨物コンテナが視界に入る。つまり、新設区間はほとんどがトンネルだということになる。
これまでは「湘南ライナー」でないとみられなかった車窓
だが、乗客を乗せて貨物線を走る列車は、これまでは朝夕に神奈川県西部と都心を結んでいる「湘南ライナー」やイベント列車など限られており、JRの駅や車内にある路線図にも載っていない。今回の直通で、この「レアだった車窓」が幅広く楽しめるようになる。
貨物線に入ると、再びトンネルへ。シェルターで覆われた高架区間などを経て地上に出るとJR鶴見駅付近で、左手には京浜東北線の青い電車が見える。この区間では横須賀線や湘南新宿ラインと同じルートを走るが、貨物線は新川崎駅(川崎市幸区)を通らずにJR貨物の新鶴見機関区側を通過。EF65型機関車や、「スーパーレールカーゴ」(SUPER RAIL CARGO)の愛称で知られるM250系電車を横目に走る。
ここから先は湘南新宿ラインと同じで、新幹線を横目に武蔵小杉駅を通過し、多摩川を経て埼京線の線路経由で新宿駅に到着した。
今回の列車は西谷駅を11時14分に発車し、新宿駅に12時13分に到着した。特別ダイヤのため、新鶴見機関区付近で停車したりしたため、通常のダイヤよりも時間がかかっている。11月30日以降の近い時間帯のダイヤの電車では、11時12分に西谷を出て新宿に11時55分に到着する。相鉄とJRの直通列車は、平日・土休日ともに1日46往復し、二俣川~新宿間を最速44分で結ぶ。
東急への乗り入れは22年度下期を予定。羽沢横浜国大駅付近から、東急東横線と目黒線が乗り入れている日吉駅(同港北区)まで約10キロにわたって連絡線を建設。田園調布を経て渋谷(東横線)や目黒(目黒線)に乗り入れる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)