「経営トップの戦略が株価を左右する時代に...」
足元では米中貿易戦争やそれも影響する中国経済の伸びの鈍化によって主要市場である中国向けの需要は停滞している。それは2019年9月中間連結決算や2020年3月期連結決算にも反映。24日に業績予想修正と同時に発表した中間決算は、営業利益が前年同期比35.3%減の622億円、純利益が64.9%減の275億円だった。冷蔵庫部品メーカー買収に際し、欧州当局から条件とされた事業売却によって約200億円の損失が出たことも響いている。
しかし、株式市場は永守会長の戦略を支持したと言える。世界で今後、自動車の電動化が加速度的に進むことは間違いないなか、その心臓部を支えるモーターを量産するための投資を高く評価した。野村証券は10月23日付のリポートで、「EV用トラクションモーターが日本電産の成長を牽引する新規事業になるとの見方に変わりなく、電子部品業界のコア銘柄として「Buy」(3段階の最上位)を継続する」とした。株価は上昇を続けて11月5日には一時、1万6440円をつけて年初来高値を更新した。市場では「アナリストなどによる決算内容の予想精度は高まっており、決算内容より経営トップの戦略が株価を左右する時代に近づいている」とする声も出ている。