東京・新宿の歌舞伎町で違法な客引きを繰り返していたとして、明治大学4年生の男(21)が偽計業務妨害の疑いで逮捕され、ネット上で話題を集めている。
客にウソをついて別の店に案内していたというが、大学生がなぜこんなことをしていたのだろうか。
昔から見られたとの指摘もあるが...
真っ白なパーカーを来た男は、無表情のまま、警察車両から出てきて...。これは、テレビの複数の民放ニュースで2019年11月5日に流れた映像だ。
各メディアの報道によると、逮捕された男は、歌舞伎町1丁目にある居酒屋のアルバイトをしており、10月13日夕、隣のビルのライバル店に入ろうとした30~40代の男女の客に「地下の店は満席なんです」とウソをついて自分の店に案内し、ライバル店の業務を妨害した疑いが持たれている。
「系列店で同じメニューが食べられます」とも言っていたといい、客が「系列店とは思えない」と1時間後に110番通報していた。
男は、4月からアルバイトを始め、半年にわたって同様な行為を繰り返していたという。
警視庁の新宿署に11月3日逮捕され、2日後に報道発表された。男は、「店に指示されてやった」と容疑を認めているという。同署では、アルバイト先の店長にも事情を聴いていると報じられている。
男の手口については、歌舞伎町などでは昔から見られたとの指摘も出ているが、現状はどうなっているのだろうか。
歌舞伎町商店街振興組合の事務局長は6日、J-CASTニュースの取材に、次のように明かした。
10月に暴排条例改正
「もう毎日、頻繁に起こっており、よくある話ですよ。店が客引きと契約しているわけではなく、暴力団絡みの客引きのグループが店から広告料のような名目でお金をもらって、客引きを集めているんですね。歌舞伎町には、3つのグループがあり、全部で延べ数十人の客引きを雇っています。客引きをしている店は、20軒余りですが、すべてぼったくり店ですね。被害に遭っているのは、歌舞伎町の他の店3000軒ほどみんなですよ」
捕まえたら、著名大学だったということは、結構あるそうだ。振興組合の事務局長は、その理由として、次のような事情を話した。
「SNSなどのネット上やねずみ講式の紹介による口コミで、儲かるとうたって客引きを集めます。客引きになった人は、稼ぎが多いので止められないんですね。多い人では、月収で100万円は超えます。客引きは、十数軒のチラシを持っており、儲けを考えて、キックバックの少ない店から、割のいい店に客を連れて行くことすらあります。システムができ上がっているんですよ」
警察が動いた背景には、みかじめ料を支払った店に罰則を科す東京都の暴力団排除条例が10月から改正・施行され、客引きによる巧妙な手口が使われるようになったことが背景にあると事務局長はみる。
「キャッチと呼ばれる客引きが減らないので、ここ1、2か月、新宿署が学生たちにキャッチのアルバイトをしないよう大学に要請していると聞いています。客引きは、振り込め詐欺などの特殊詐欺の入口になっており、暴力団などができる人を引っ張るわけです。ですから、深みにはまって、人生が終わる人もいるでしょうね」