韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が2019年11月5日に早稲田大学で行った講演で、元徴用工問題をめぐる新たな解決案を披露した。韓国外務省は6月、韓国企業と被告となった日本企業が資金を拠出して元徴用工に賠償する案を出し、日本側に一蹴されたという経緯がある。
文氏は、この韓国政府の提案を「1プラス1」と呼び、さらに両国民の寄付を加えて「プラスアルファ」することを提言。だが、これが実質的な解決策になるとは考えにくく、早くも日韓双方から批判の声があがっている。
解散した「和解・癒やし財団」残金も基金に充当
文氏は講演の中で、両国企業や国民からの寄付に加えて、15年末の慰安婦合意で設立されたが実質的な活動をしないまま解散した「和解・癒やし財団」に残された60億ウォン(約5億6000万円)も加えて基金を設立し、元徴用工に慰謝料を支払う法案を検討していることを明かした。
日本政府としては、元徴用工への賠償問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」として、韓国側の責任で解決すべきとの立場。菅義偉官房長官は今回、11月6日午前の会見で、
「他国の立法府での議論に政府としてコメントするのは控えたい。政府の立場は一貫している」
と述べた。事実上の門前払いだとみられ、自民党議員からも
「寄付したい方はご自由にどうぞ。しかし、日韓請求権・経済協力協定に則り韓国政府が一義的な責任を果たすスキームでなければ話になりません。寄付はあくまで二次的なものであるべきで、文喜相議長提案は主客が転倒してます」(長島昭久衆院議員)
「韓国の国会議員が日本に来て、いろんな案をぶち上げる。しかも日本企業等にお金を出させる案。韓国内での擦り合わせをした形跡も乏しい。まともに議論する価値なし」(佐藤正久参院議員)
といった批判的なツイートが相次いでいる。