郵便局の郵便窓口に、2020年2月からキャッシュレス決済が導入される。クレジットカードと電子マネー、コード決済の計21種に対応し、同年5月までに約8500局へ広がる予定だ。
これまで現金のみに限られていたため、ツイッターでは「やっとか...」といった声が。実は、郵政民営化直後からしばらく、一部郵便局にSuicaが試験導入されていたため、十数年越しの「本格導入」となるのだ。
2020年2月に65局導入
日本郵便は18年9月、郵便局にキャッシュレス決済を導入予定だと発表。19年10月には、決済ブランドと導入局が発表された。20年2月3日から導入されるのは、全国の65局。その多くは各県庁所在地の中央郵便局だが、東京、神奈川、埼玉、千葉は複数局で当初から導入される。
対象となるのは、郵便料金や荷物運賃(ゆうパック、ゆうメールなど)に加え、切手やはがき、レターパックなどの販売品。カタログや店頭商品など、物販商品の支払いにも対応する。プレスリリースによると、局員がモバイル端末で磁気やIC、コードを読み取って、決済を行うようだ。
対応ブランドには、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」も含まれている。これは、ゆうちょ口座から即時決済できるコード決済だ。19年5月にサービス開始したが、これまで郵便局では使用できず、違和感を覚える利用者も多かった。
郵便局のキャッシュレス化には、前例がある。新宿郵便局(東京都新宿区)では、07年10月から郵便窓口にSuicaを導入。長らく「試験導入」の形で続けられていたが、15年秋までに終了した。利用者からは当時、「非常に不便になった」「ほかの郵便局に全然広まらなかったな」といった反応が出ていた。新宿局は65局に含まれているため、4年半ぶりの「再導入」となる。
かつて磁気式のプリペイドカードはあったが...
時代をさかのぼると、国営事業だった当時には、磁気式の「ふみカード」があった。これは郵政省時代の1989年に発行開始された、切手・はがきの自販機で使えるオリジナルのプリペイドカードだ。日本郵政公社移行後の2006年に利用停止されたが、それから新宿局へのSuica導入まで約1年。もしかすると、当初は代替手段として考えていたのかもしれない。
しかし、ふみカードの後継が出ることはなかった。ゆうちょ銀行は17年から、VISAプリペイドカード「mijica(ミジカ)」を発行。19年にデビットカード機能も加えられたが、今回対応する決済ブランドには入っていない。ゆうちょPayとは対照的な扱いだ。
ただ、ゆうちょPayは今回、PayPayやLINE Pay、メルペイといった、シェアの大きなコード決済と同時導入される。ライバルと比べた「ゆうちょPay」のメリットは現状で、ゆうちょ銀行口座から即時引き落としされること程度に限られているため、あまり普及促進の面では期待できなさそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)