顧問「『個人で出場する』と聞いていました」
部員らは4月、FSWがカブカップを開催していることを知り、出場をめざす。運転免許を取得していることが条件だったが、先のとおり学校との関係で免許取得は難しい。だがFSWは、毎週末カートコースを走る部の存在を知っていた。そして部員が安全に走行できるレベルの運転技術と知識を持っていることを確認し、特例的に出場を認めた。FSWの担当者が取材に話す。
「毎週練習しているのを見ていたので、大丈夫だという判断をしました。参加にあたって安全に走るために、走行練習をしっかりやってほしいことはお願いしました。
あとは本人たちの意気込みですね。熱烈なやる気がありました。あの若さでバイクが好きな子たち、最近あまり見なくなりましたから、彼らは本当に貴重な存在ですよ。モータースポーツの未来を支える世代です」
部員が顧問にこうした経緯を説明し、カブカップに出場したいと申し出ると、保護者管理のもと出場が認められたという。にもかかわらず大会前日、地元紙報道を見た学校側が先のとおり「廃部」をほのめかしたというのだが、伊豆総合高校原動機研究部の顧問は取材に「廃部にするなんて言っていませんよ」と否定する。
「生徒からは『個人で出場する』と聞いていましたので、『ケガのないように頑張ってね』と伝えていました。ところが、学校名と部活名が(報道で)出ていたので『聞いていた話と違うけど、どういうことなの?』と聞いただけです。
出場メンバーには3年生もいて、卒業後は就職する生徒もいます。社会に出てから、承諾を得ず勝手に会社名を使ってしまうと責任問題になるということ、自分たちのやっていることが応援されるよう話を通してほしいということを伝えました。
しかし会社に置き換えてもピンと来ていなかったので、『部活で言ったら万が一そういった(廃部の)判断を下す人もいるかもしれないから、覚えておいて。ただ、今回はみんなに責任がないことも分かってる』という話をしました。廃部という言葉を使って分かりやすく話したことはあるかもしれませんが、本当に『廃部になる』とは一切言っていません。話が独り歩きしてしまっています。
部活はできることとできないことがあり、それは組織として決めていることです。自由になんでもできる時間もお金もありません。今回のカブカップ出場は、免許を取ることなく、個人活動として保護者の責任で行うと聞いていました。確かに外部のレースは部活の中ではできないことなので、個人で頑張ってもらう分には何も問題ありません」(顧問)
だが、こうした説明に福岡さんは反論する。
「普通に部員が集まって、顧問の先生に『カブカップに出場したいです』と説明しに行って承諾を得たんですよ。部活としてとか、個人としてなんてわざわざ言いません。子どもたちは部として出る前提で話しています。実際にカブカップ前まで、学校内にバイクを持ち込んで分解・組立をしていましたし、レースに向けて頑張ろうと動いていたのに、レースだけ個人活動だなんて説明しないでしょう」(福岡さん)