「我々の大統領に向かって『Lock him up! (やつを刑務所に入れろ)』と大合唱なんて。アメリカ人がすることではない」――。こうした声が反トランプ派からもあがり、物議を醸している。
2019年10月27日、トランプ大統領はメジャーリーグ(MLB)のワールドシリーズを観戦した。試合途中に紹介され、スタジアムの巨大スクリーンにメラニア夫人とともに映し出されると、観客から大きなブーイングを浴びた。
「やつを刑務所に入れろ」の大合唱
トランプ氏はこの日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者の殺害を発表。その後、ホワイトハウスの地元のワシントン・ナショナルズとヒューストン・アストロズの試合を観戦した。
ワールドシリーズのスタジアムでは最初に米兵が紹介されると、観客から歓声があがった。しかし、トランプ氏らの映像に切り替わると長いブーイングが続き、その後、「やつを刑務所に入れろ」と大合唱がわき起こった。
これは、2016年米大統領選のキャンペーン中に、トランプ支持者の集会で対抗馬のヒラリー・クリントン氏に対して叫ばれていたスローガンだ。大合唱は、ウクライナ疑惑に関する弾劾調査を受けたものと思われる。会場には「トランプ弾劾」の大バナーも見られた。
首都ワシントンとその郊外で、トランプ氏は人気がない。2016年の大統領戦でワシントンの90%以上がクリントン氏に投票。トランプ氏に投票したのはわずか4%と、歴史的な 低さだった。ワシントンでトランプ氏が外出することはほとんどないと言われており、大統領就任後、同氏が大リーグの試合を観戦したのは初めてだという。
トランプ嫌いのワシントンとはいえ、イスラム過激派の最高指導者を殺害という「大きな手柄」の直後だけに、観客の反応にトランプ氏は驚き、落胆したようにも見える。