所有から「共有」へと変わる時代の中で
曲がり角を迎える東京モーターショー、そして自動車業界。もちろん、こうしたことはメーカーにとって百も承知であり、人口減少も進む日本で自動車を購入する個人はさらに減ると見込んで経営戦略を策定している。効率的な移動を可能にする次世代交通体系「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の本格化を念頭に、自動運転や電動化などの技術を開発しているのもそのためだ。MaaSが現実となれば、自動車は「所有」するものではなく、「共有」するものになる。
かつて豊田社長は、トヨタ自動車がスポーツカーの開発を続ける理由について、「100年前から移動手段は馬から車に代わっていったものの、ホースレースはまだ続いているし、乗馬も楽しまれている」と説明している。豊田社長が予想するように、未来の自動車は一部の人にとって「娯楽の手段」として残るものの、多くの人にとっては「生活の足」として共有する存在になるかもしれない。こうした歴史的な転換が進みつつある中で、今回の東京モーターショーは自動車がある社会の未来を、功罪問わず示すことができただろうか。