小池知事、札幌開催に「注文」 五輪マラソン決定で「1つ、加えたいポイントが...」

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   IOC(国際オリンピック委員会)、東京五輪大会組織委員会、東京都、政府の4者協議が2019年11月1日、都内で開かれ、東京五輪のマラソン・競歩を札幌で開催することで合意したことを発表した。10月後半に突如IOCから提案された開催地変更の混乱は決着を迎えた。

   だが、当初から最後まで反対姿勢を見せてきた小池百合子都知事は、「都民は失望もある」など最後まで「恨み節」。4者それぞれの発言が終わった後には「1つ、加えたいポイントがある」としてIOCに注文した。

  • ジョン・コーツ氏(左)と小池百合子氏(右)
    ジョン・コーツ氏(左)と小池百合子氏(右)
  • ジョン・コーツ氏(左)と小池百合子氏(右)

「東京開催がベストである考え、いささかも変わらない」

   IOCのジョン・コーツ調整委員長は、札幌開催についての合意のポイント4点を説明。

(1)会場変更の権限はIOCにあること
(2)マラソン・競歩の会場が札幌に変更された際に発生する新たな経費は、東京都に負担させないこと
(3)既に東京都・組織委員会が支出したマラソン・競歩に関連する経費については、精査・検証の上、東京都において別の目的に活用できないものは、東京都に負担させないこと
(4)マラソン・競歩以外の競技について、今後、会場を変更しないこと

   これに対し、小池氏は4点を受け入れたとしながら、「都民は失望もある。納得いかない点もある」「今もマラソン・競歩を東京で開催するのがベストであるという考えは、いささかも変わらない」としたうえで

「IOCに同意はできないが、最終決定権限をもつIOCの決定を妨げることはしない。あえて言えば、合意なき決定だ」

とIOCを牽制した。

   小池氏はこの4者協議の前日、コーツ氏を通じてIOCのトーマス・バッハ会長にメッセージを送ったという。小池氏は「これまで調整委員会では財政問題や暑さの問題などを議論したが、まだどうしても解決できないものある。盛り上がってきたマラソンへの都民の期待、関係者の思い、こうした都民の思いにこたえられるか、これまで声をあげてきた。そうした思いを率直に伝えた」としたうえで、次のようにバッハ氏から提案を受けたことを明かした。

「IOCと東京都で一緒に、東京都のマラソンのコースを活用し、五輪後に『オリンピックセレブレーションマラソン』を開催してはどうかと言われた。IOCが都民への誠意を示す必要があるという提案を、バッハ会長から昨夜受けた。具体的な企画はこれからIOCと検討したい」

「北半球の都市どこでも過酷な状況になると言わざるを得ない」

   小池氏は時には鋭い眼差しで、時には椅子にどっしりと深く腰掛けながら、コーツ氏の発言を聞いていた。「スピーチしてもいいの?」と冗談めかして笑いを誘う場面もあったが、次の瞬間には笑みが消え、東京開催への「未練」があることを漂わせた。コーツ氏も、組織委、東京都、政府の3者から「都に大きな影響を与えたのでまず都知事から発言をお願いしたい。驚きや落胆を表明してほしい」と冷や水を浴びる覚悟からあることを示しながら、発言を促した。

   会場変更の決め手のひとつとなったのが「アスリートファースト」の考え。選手の健康面を考慮し、真夏の東京より札幌のほうが安全ということだ。

   組織委の森喜朗会長、政府の橋本聖子五輪担当相ら、4者それぞれが順に発言を終えると、小池氏は「1つ、加えたいポイントがある」とIOCに注文した。

「暑さの問題があるという話だった。世界銀行も、気候変動による自然災害や温暖化は予測をかなり前倒しでウォーニングしている。それを考えると、五輪開催の前提条件が7~8月の実施だと、北半球の都市どこでも過酷な状況になると言わざるを得ない。この点、我々自身が直面しないといけないのではないか。IOCとIPC(国際パラリンピック委員会)は『アスリートファースト』というならその観点もよく考える必要がある」

   これにコーツ氏は、五輪憲章を変更したとし、「将来の開催都市も、ひとつの都市だけでなく、フレキシブルにできる。普遍的な大会に、と知事が言うのはその通りだ」と応じた。

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