「反応しないことが一番の『罰』でしょう」
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「深く考えて動画を投稿しているわけではないと思います。例えるなら、学校でクラスの話題になってやろう、というくらいの発想しかないと思います。ネットで炎上してある意味の『人気者』になろうという」と、今回のような動画投稿者の思考を推察する。
「台風19号では川の濁流を泳ぐ動画がSNSに投稿されて問題視されましたが、結果として注目はされました。それと同様で、今回の火災に乗じて、『犯人は僕です』と言ったら炎上するだろうと考えた。でもどれくらい炎上するかは全く考えていない。
削除したのは、想像していたのと炎上の規模が違ったのでしょう。でもこれも、家族や知り合いに怒られちゃうという程度の心理。短絡でしかないと思います」
ツイッターなどでも、彼を批判することで、結果としてYouTube動画を拡散するユーザーがいた。「『世直し』したい人たちですよね。彼らも再生数稼ぎに加担することまでは考えない。『けしからんから罰を与えてやろう、懲らしめてやろう』くらいの考えだったと思います」と井上氏。今回のような動画への「対処方法」をあえて聞いてみた。
「『犯人は私です』と発信してしまう人なんて滅多にいません。そういう極めてレアな人まで捕まえて怒っていると、『あ、こういうことやったら怒られて炎上してまた有名になる』と思わせ、負の連鎖が起きてしまいます。
『増水した川に行ってみた』みたいな動画だと、子どもがマネして身の危険が及ぶおそれもあります。そういう場合にリスクを考えて『けしからん』と言うのは、分からなくありません。しかし実害がないのであれば、無視した方がいいですよね」
そのうえで「ほっとくしかない。反応しないことが一番の『罰』でしょう」と話している。